第1章 影響力の武器
P | 項目 | 適用 | |
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3 | <カチッ・サー> | ||
3 | 固定的行動パターン | さまざまな種の動物に(略)規則的で盲目的といえるほどに機械的な行動パターンがあることを明らかにしつつあります。これらは【固定的行動パターン】と呼ばれます。 | |
5 | ステレオタイプ | 人間行動の原理としてよく知られているものの一つに、人に何か頼み事をするときには理由を添えた方が成功しやすくなる、というのがあります。 | |
6 | ステレオタイプ | 『高価なもの=良いもの』という標準的な原理、つまりステレオタイプを用いた。 | |
6 | <てっとり早い方法に賭ける> | ||
6 | 額に見合う | 『払った額に見合うものが手に入る』というルール。 | |
7 | 簡便法の必要性 | 私たちは、とてつもなく複雑な環境の中に住んでいます。これほど急激に変化し、複雑に入り組んだ環境はこれまでなかったものと言ってよいでしょう。これに対処するためには、簡便法を用いることが【必要】なのです。 | |
8 | 判断のヒュースティック | 【判断のヒューリスティック】と名付けられたこれらの簡便法 | |
8 | 専門家を頼る | 『専門家がそう言うなら、正しいに違いない』という簡便法 | |
9 | 自動反応 | 状況の中にある一片の情報に機械的に反応してしまう傾向は、私たちはこれまで自動反応あるいは『カチッ、サー』反応と呼んできたものにあたります。 | |
9 | コントロールされた反応 | すべての情報を十分に分析した上で反応する傾向は【コントロールされた反応】と呼ばれています。 | |
10 | 機長症候群 | 機長症候群(Captainitis)……連邦航空局の事故調査官は、機長が犯す明白なミスが他の乗員によって正されず、その結果航空機が墜落してしまうことが多いと指摘しています。(略)乗員は、『専門家がそう言うなら、正しいに違いない』という簡便法を使い、破滅へ至る機長のミスに注意を向けたり、それに反応することを怠ってしまった。 | |
11 | 〈利益を得るのは誰?〉 | ||
14 | 自動的影響力の武器 | 自動的な影響力の武器は、いくつかの共通要素をもっています。(略)一つは、これらの武器に内在する力が活性化されるのがほとんど自動的な過程であることです。もう一つは、その結果、どのようにしてこの課 程が始動されるかを知っている人なら、誰でもこの力を利用できることです。 | |
14 | 〈柔道〉 | ||
15 | コントラストの原理 | 人間の知覚にはコントラストの原理というのがあります。 |
第2章 返報性
P | 項目 | 適用 | ||
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23 | 返報性 | 『他人がこちらに何らかの恩恵を施したら、似たような形でその返しをしなくてはならない』というものです。 | ||
25 | 返報性 | 著名な考古学者リチャード・リーキーは、私たちを人間たらしめているものの真髄は返報性のシステムであると言っています。 | ||
25 | 報恩 | 文化人類学者ライオンネル・タイガーとロビン・フォックスは、この『報恩が織りなすネットワーク』を人類に特有の適応のメカニズムと見なしており、これによって人々の労働が分担され、多種多様のものや、さまざまな形態のサービスに交換され(これによって、専門家が生まれることが可能になります)、そして、ここで生み出される相互依存性が人々を結びつけて高度な能率的な単位が作り上げられると述べています。 | ||
26 | <返報性のルールはどのように働くか> | |||
28 | <返報性のルールの威力> | |||
29 | 返報性の威力 | うっかり相手の言う通りに承諾してしまうことがありますが、これは、その要求を出す前に彼らが私たちに小さな恩を着せるからです。 | ||
29 | ハレー・クリシュナ協会 | |||
32 | <政治の世界の返報性のルール> | |||
34 | <無料(とはいえない)試供品> | |||
37 | <返報性のルールのために、知らぬ間に恩義を感じてしまう> | |||
38 | 贈与 | フランスの人類学者として影響力のあるマーセル・モースが人間文化における贈与過程にまつわる社会的圧力に関して、与える義務、受け取る義務、お返しをする義務があると述べています。 | ||
38 | お返しの義務 | 返報性のルールの本質を校正するのはお返しをする義務ですが、このルールを自分の利益のために利用することを容易にしているのは、受け取る義務の方です。 | ||
39 | 望まない恩恵の義務 | 望みもしない恩恵を施された場合でも、それをひとたび受け取ると恩義を感じるようになってしまう。 | ||
40 | 驚き | 驚きそれ自体も、承諾を引き出す効果がある。要求に驚いた人がよく承諾をしてしまうことがあるが、これは一時的に自分を見失う結果、容易に影響を受けてしまうからである。 | ||
42 | 不公平な交換 | <返報性のルールは、不公平な交換を引き起こす> | ||
43 | 恩義の負担 | 恩義の感情は明らかに負担を感じさせるものである。 | ||
45 | 幸福感 | 年輩の未亡人を対象とした研究では、最も幸福感を感じていたのは。自分が受け取った量と同じ程度の援助を友人に与えていた人たちであることが明らかにされています。 | ||
46 | <譲り合い> | |||
47 | 譲歩 | 自分に対して譲歩してくれた相手に対しては、こちらも譲歩する義務がある。 | ||
48 | <拒否させた後に譲歩する> | 『拒否したら譲歩』テクニックと呼ぶことにしますが、またの名をドア・イン・ザ・フェイス・テクニックと言います。 | ||
53 | <譲歩のお返し、知覚のコントラスト、そしてウォーターゲート事件の怪> | |||
53 | 拒否したら譲歩 | 『拒否したら譲歩』法が成功を収める理由の一つは、それが返報性のルールを取り入れていることである。 | ||
57 | <承諾するも地獄、断るも地獄> | |||
60 | 拒否したら譲歩 | 奇妙なことと思えるのですが、『拒否したら譲歩』法は、こちらの望み通りに人々に同意させるだけでなく、実際にその要求を実行し、将来も要請があれば志願するように仕向けるようです。 | ||
61 | 責任を感じる | |||
66 | 無料の情報提供 |
第3章 コミットメントと一貫性
P | 項目 | 適用 | |
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70 | 前決定の正当化 | ある立場を取ると、そのコミットメントと一貫した行動を取るように、個人的にも対人的にも圧力がかかり ます。そのような圧力によって、私たちは前の決定を正当化するように行動するのです。 | |
71 | 一貫性の要求 | ひとたび立場を明確にすると、一貫性への要求から、自分がしたことと一貫するように感じたり信じたりするようになります。正しい選択をしたのだと、間違いなく十分に満足しているのだと、自分自身に信じ込ませるのです。 | |
73 | 一貫性の原理 | 心理学者はずっと前から、一貫性原理の力が人間の行動を方向づけることに気がついていました。レオン・フェスティンガーやフリッツ・ハイダー、セオドール・ニューカムのような著名な理論家は、一貫性を保ちたいという気持ちを人間行動を動機づける力の一つと見なしています。(略)一貫していたい(一貫していると見てもらいたい)というこの欲求は、しばしば自分の本当の利益とは明らかに反するような行動に私たちを駆り立てます。 | |
74 | 一貫性の利益 | しばしば一貫性を保つことが自分の利益になるので、そうすることが賢明でない状況でさえ、自動的に一貫性を保つことが私たちの習慣になっています。 | |
75 | 思考労働の放棄 | ジョシュア・レイノルズ卿は、『考えるという本当の労働を避けるために、人はどんな手段にも訴える』と述べています。 | |
83 | コミットメント | 強力な一貫性のテープを回転させる【カチッ】は、何によって生み出されるのでしょうか。社会心理学者は答えを知っていると考えています。それは、コミットメントです。もし私があなたのコミットメントさせる(すなわち、立場を明確にさせる、公言させる)ことができたとしたら、よく考えもせずに自動的にそのコ ミットメントと一貫性を保つためのお膳立てができたといってよいでしょう。 | |
84 | 立場の明確化 | 立場を明確にしてしまいますと、その立場と強固に一貫して行動しようとする傾向が自然と生じるのです。 | |
85 | 寛容政策(中国共産党の) | ||
85 | エドガー・シャイン | 中国の教化プログラム | |
86 | 承諾 | 小さいことから始めて、そこから築き上げよ。 | |
87 | 協力者 | (ある人が自分を協力者として自覚すると)多くの場合、その人は実際に行った行動や『協力者』という新しいレッテルと一貫するように自己イメージを変えてしまい、しばしば、もっと協力的な行動さえするようになってしまうのです。シャインによると、この場合、『強力を完全に拒否することができたのは、ほんの少数だけだった……』 | |
87 | インタビュー | インタビューに応じるという最初の些細なコミットメントが、骨髄の提供といった苦痛を伴う行動を引き出す『承諾へのはずみ』となりうるのです。 | |
88 | フット・イン・ザ・ドア・テクニック | 小さな要請から始めて、関連する大きな要請を最終的に承諾させる方略は、『フット・イン・ザ・ドア・テクニック』と呼ばれています。 | |
90 | 要請への注意 | 些細な要請に同意する場合にも十分に注意を払わなくてはならない。 | |
92 | 害のない譲歩 | シャインは、中国人の標準的な教化方策を次のように描写しています。『まず質問を書かせて、次に(中国に好意的な)答えを書かせるというやり方もあった。自主的に書くことを捕虜が拒否した場合には、既にノートに書かれてある答えを、ただ書き写すように求めた。彼にとって、それは害のない譲歩に思えた違いない』 | |
93 | 『害のない』譲歩、これが問題なのです。ほんの些細なことに思えるコミットメントによって、それと一貫した行動を次にとってしまう。 | ||
94 | 判断の際の周囲の影響 | 何が正しいかを自分で判断する際には、自分の周りの人たちが何を正しいと考えているかが非常に重要な役割を果たします。 | |
94 | 一貫性の圧力 | 行動を含むコミットメントをしてしまうと、自己イメージには二つの面から一貫性圧力がかかります。中からは、自己イメージを行動に合わせようとする圧力があります。そして外からは、もっと秘かな圧力−−他者が自分に対して抱いているイメージに、自己イメージを合わせようとする傾向−−がかかるのです。 | |
96 | 書き留める | (アムウェイのテクニック)始める前の最後の秘訣。それは目標を設定し、目標を【書き留めることです】。どんな目標でも、目標を立てることが重要なのです。そうすれば自分が目指すものができます。−−そして、その目標を書き留めるのです。書くことには魔術的な力があります。ですから、目標を設定しそれを書き記すのです。目標を達成したら、さらに別の目標立て、それをまた書き留めてください。さあ、行ってきなさい。 | |
97 | 書き留める | 人は書いてしまったことに見合うように行動する。 | |
98 | パブリック・コミットメント | 意見を書かせることが、本当の個人的変化を引き起こすのに効果があるもう一つの理由は、書かれたものを簡単に公表できる点にあります。朝鮮における捕虜たちの経験は、中国人が心理学の重要な原理−−コミットメントを公表すること(パブリック・コミットメント)がコミットメントを持続させる−−をよく知っていたことを示しています。 | |
98 | 他人に見えるような形で自分の立場を明確にすると、一貫した人間に【見せるよう】とするために、その立場を維持しようとする気持ちがその人の中に強く生じるようになります。 | ||
101 | 彼(ドゴール)は誇らしげに『ドゴールは自分の言葉を裏切ることができないのだ』(と言いました。) | ||
107 | 得たものの価値 | エリオット・アロンソンとジャドソン・ミルズという二人の若い研究者は、『何かを得るために大変な苦難や苦痛を経験した人は、同じものを最小の努力で得た人に比べて、自分の得たものに対して価値をおくようになる』という。 | |
108 | 加入儀礼と連帯感 | (未開の)五十四の部族の文化を調べた調査では、最も劇的で厳格な加入儀礼を持つ部族の連帯が最も強いことが明らかにされているのです。アロンソンとミルズは、加入儀礼の厳しさが集団に対する新加入者の【コミットメント】を著しく高めることを示しました。 | |
109 | 行為への責任感 | 自分で責任を取らせる必要……人は外部から強い圧力を受けずにある行為を選択すると、その行為の責任は自分にあることを認めるようになる。 | |
114 | サミュェル・バトラーが三百年以上も前にこう記しています。『自分の意志に反して賛同した者は、元の意見を持ち続ける』と。 | ||
114 | 支えとなる脚 | 『自ら自分を支える脚をつくる』……自分の信念体系の中で一貫性を保とうとする欲求があるために……コミットメントを正当化するために理由を作り出してゆく過程で重要なのは、それらの理由が【新たに】つけ加えられるという点です。したがって、そうした行動をとることになった元々の理由がなくなっても、新しく発見された理由だけで、正しい行動をとったという封に考え続けることが十分にできるのです。 | |
115 | ローボールテクニック | ||
118 | ローボールテクニックで印象的なのは、不利な選択で人を満足させることができるという点です。 | ||
122 | その説明図 | ||
125 | 一貫性 | (馬鹿げた) エマーソン『自持論』……『馬鹿げた一貫性は、つまらない政治家や哲学者や聖職者があがめる、偏狭な心に住む子鬼である』 | |
131 | 時間を遡る | 『今知っていることはそのままにして時間を遡ることができたとしたら、同じコミットメントをするだろうか』 |
第4章 社会的証明
P | 項目 | 適用 | |
---|---|---|---|
138 | 社会的証明の原理 | 周囲の人の行動が自分がどのように振舞ったらよいかを決める重要な手掛りとなる。 | |
138 | 社会的証明の影響力 | 『自分で何を買うかを決められる人は全体のわずか五%、残りの九五%は他人のやり方を真似する人たちです。ですから、私たちがあらゆる証拠を提供して人々を説得しようとしても、他人の行動にはかなわないのです』(優れたセールスマンの言葉) | |
145 | UFO | ||
160 | 集合的無知の状態 | ラタネとダーリー | |
164 | 人が集団になると援助しなくなるのは、彼らが不親切だからではなく、確信がもてないからだということを認識すること。 | ||
164 | (その解決)一人の人間を分離 | ||
168 | 社会的証明の原理 | “不確かさと類似性” 社会的証明の原理が特に強く作用する条件というのがいくつかあります。その一つが不確かさです。どう振舞えばよいのか確信がもてないとき、人は他者の行動を参考にして自分の行動を決める傾向があります。このことに疑問の余地はありません。もう一つの重要な条件は類似性です。社会的証明の原理は、自分と似ている人の行動を見ているときに最も強く作用します。どう振舞うのが適切なのかを考えるとき、一番参考になるのは自分と類似した他者の行動です。したがって、私たちは、自分と異なる人よりも類似した人が示す行動に従いやすいものなのです。 | |
170 | 類似性(自分との) | 自分にとって何が適切な行動であるのかを決定する際に他者の行動を手掛りにするのですが、そうした傾向は、【その他者が自分と似ていると思う場合に特に強くなる】のです。 | |
173 | 悲嘆理論 | 続発する事故、自殺の説明 | |
173 | ウエルテル効果 | 自殺報道が自殺を呼ぶ | |
177 | 模倣 | ||
180 | 人民寺院 | ||
185 | 自動的行動 | 何人かのメンバーを自分が望む方向に向けて起きさえすれば、残りの人々は−−動物がその先頭ではなく自分のすぐ周りにいる動物に反応するように−−おとなしく、そして機械的に従うものです。 |
第5章 好意−−優しい泥棒
P | 項目 | 適用 | |
---|---|---|---|
196 | 好意のルール | 私たちは、自分が好意をもっている知人から何か頼まれると、ほとんどの場合イエスと言ってしまいます。このことは別段驚くにあたらないでしょう。しかし、私たちが全く知らない人たちまでがこの単純な好意のルールをいろいろなやり方で使って、【彼らの】要請を私たちに受け入れさせている。 | |
196 | タッパーウェア | 返報性、コミットメント、社会的証明 | |
198 | エンドレス・チェーン | ||
199 | 友だちになるのは、影響を及ぼすため> | ||
200 | 好意の要因 | 外見の魅力(ハロー効果)、類似性、お世辞、接触と共同、連合(結びつき) | |
201 | ハロー効果 | ハロー効果というのは、ある人が望ましい特徴を一つもっていることによって、その人に対する他者の見方が大きく影響を受けるということです。 | |
202 | 外見と犯罪 | あらゆるタイプの人間を扱い慣れているソーシャル・ワーカーでさえ、まともで、可愛い少女が罪を犯すと考えることに困難を覚えることが多い。理由ははっきりわからないのだが、多くの人々は外見の異常さと犯罪を結び付けて考える。したがって、美人が有罪になることはめったにないと言わざるを得ない。 | |
206 | 類似性の過小評価 | わずかな類似性でさえ他者に対する望ましい反応を作り出すのに効果があり、見せかけの類似性は簡単にでっちあげられるのですから、『あなたとよく似ていますね』と話す要請者の存在には特に注意するよう、こ こで忠告しておきたいと思います。最近の研究は、類似した要請者を相手にする際には注意しなければならない理由を、もう一つ指摘している。それは、類似性が他者にに対する好意に及ぼす影響力の強さを、われわれが過小評価しがちであるという点である。 | |
208 | お世辞 | 一般的に言って、私たちには他者からの称賛を信じ、それを与えてくれる人を好む傾向があります。たとえ、その称賛が真実でないときでさえもです。 | |
208 | 称賛を高めていく効果 | 最も効果的な戦略というのは、(略)話の中で、最初はあまり良いことを言わず、その後で徐々に称賛を高めていくのを何気なく本人に聞かせるというものでした。(他者を最初は非好意的に、次に好意的に評価するという方略は、相手がその評価を偶然に聞いたときにのみ有効であることを指摘しておかなければならない) | |
214 | 二つに分ける | =敵意 | |
217 | ジグソー教室 | ||
224 | <条件づけと連合> | ||
225 | 悪いニュースの伝染 | 『悪いニュースの内容は、その話し手にも伝染する』 | |
226 | 連合 | 連合というのは一般的な原理であって、望ましくない結びつきにも、望ましい結びつきにも適用されます。悪い出来事でも良い出来事でも、それと単に結びつけられることが、人々が私たちに対しどのような感情を抱くかに影響を与えるのです。 | |
233 | 奇妙な行動の多くは、人々が連合の原理を十分に理解していて、望ましい現象−−自分がその現象の原因ではない場合でも−−と自分を結びつけ、逆に、望ましくない事象から自分を遠ざけようとする事実によって 説明できます。 | ||
236 | 著名な作家アイザック・アシモフは、私たちがコンテストを見るときの反応を次のように描写しています。『他のすべての条件が等しければ、人は自分と同じ性別、同じ文化、同じ地方の人を応援する……その人が証明したいと思っているのは、【自分が】他の人より優っているということなのである。応援する相手が誰であれ、その相手は【自分の】代理になる。そして、その人が勝つということは、【自分が】勝つことと同じなのである』 | ||
238 | 私たちは望ましい連合をひけらかし、望ましくない連合を覆い隠すことによって、周囲の人たちが私たちを高く評価し、もっとすきになるようにさせているのです。 | ||
238 | 連合(投影された栄光) | 投影された栄光によくしたいという気持ちは誰にでも多かれ少なかれありますが、自分が観戦できなかったゲームのチケットの切れ端一枚を五十ドルで買うために雪の上で行列をつくった人々には、何か特別なことがあるように思われます。それはおそらく、家に帰ってから友人などに、自分がその偉大な勝利の場面に居合わせたことを『証明する』ためなのです。彼らは一体、どのような人なのでしょうか。私の推測が的外れでなければ、彼らは単なるスポーツ熱愛者ではなく、背後にパーソナリティの脆弱さが隠されている人たちです。つまり、否定的な自己概念をもっている人々なのです。こころの深層に、自分は価値が低い人間だという気持ちがあるため、自分自身の業績を高めて名声を得るのではなく、他者の業績との結びつきを形成し、それを強めることによって名声を得ようとしているのです。私たちの文化の至るところにはびこるこの種の人間は、実に多種多様です。有名人を友だちのように言う人たちは、その古典的な例です。ロック・ミュージシャンを追い回すグルーピーもそうです。彼女たちは、有名なミュージシャンとしばらく『一緒に』いたと友人に言いたいがために、自分の性的魅力を売り物にしているのです。どのような形であれ、そのような人々の行動には似たような主題があります。それは、物事の達成は自分が外部から得られるという、かなり悲劇的なものの見方です。 | |
231 | ランチョン・テクニック | ラズランは、食べ物に対する自然な反応は唾液分泌の他にも数多くあるということに気がつきました。その 一つに楽しく心地よい感情があります。ですから、この快適な感情や好意的な感情を、おいしい食べ物と密接に関連するものなら何にでも結合させることができるのです。 | |
243 | 好意 | 好意に導くようないくつかの要因(身体的魅力、親密性、連合)は、無意識のうちに働いて私たちに効果を及ぼす。 | |
246 | 親密性 | 人や事物と接触を繰り返すことによって親密性を高めることも、好意を促進させる一つの要因である。この関係は、不快な環境よりも、快適な環境の中で接触が起こる場合に主として当てはまる。特にこの関係が強 く生じる快適な環境の一つに、相互の協力で成功がもたらされる環境がある。 |
第6章 権威−−導かれる服従
P | 項目 | 適用 | |
---|---|---|---|
252 | <権威のもつ影響力の強さ> | ||
254 | ミルグラム | (アイヒマン実験の被験者の反応は)権威に対する深く根ざした義務感と関係(する。) | |
257 | 『服従の心理』 | 権威への服従 | |
258 | 無政府状態 | 文化をもっている集団に対してなんの利益ももたらさない状態であり、社会哲学者トマス・ホップズが、人生を『孤独で、貧しく、汚く、残酷で、はかない』ものにしてしまうと断言したものです。したがって、私たちはこの世に生まれて以来、適切な権威に従うことが正しいことであり、それに従わないことは間違いであると教育されています。 | |
259 | 権威者の認めた情報 | 権威者と認められた人からの情報は、ある状況でどのように行動すべきかを決定するための貴重な近道を提供してくれる。 | |
259 | パラドックス | 権威者に服従することによって多くの賞が得られることが一度わかると、私たちはすぐにこの便利な自動的服従に頼るようになってしまいます。盲目的な服従に対してこのような賛美と呪いが同時に存在することこそ、盲目的服従の機械的な性質を表すものなのです。 | |
260 | 直腸の耳痛 | コーエン | |
262 | <内容よりも姿形が重要> | 本当の権威を一切使わないで権威の力を使用すること | |
263 | <肩書き> | 権威者の地位が大きさの知覚に影響を及ぼすことを調べた研究では、肩書きによって身長の知覚に歪みが生じることが見出されています。 | |
269 | <服装> | 機械的な服従となる権威のシンボルの第二番目は服装です。 | |
271 | 銀行検査官方式 | ||
273 | <装飾品> | ||
274 | 権威への無抵抗 | 私たちは権威に対して全くといってよいほど抵抗しようと思わない。 | |
277 | <ウラのある誠実さ> | 自分たちの利益に少し反したことを言う。 | |
280 | 誠実な専門家 | 誠実であるとわかった専門家ほど信頼できる人はいないというわけです。 | |
282 | 権威のシンボル | 権威者に対して自動的に反応する場合、その実体にではなく権威の単なるシンボルに反応してしまう傾向がある。 | |
282 | 三種類のシンボル | 三種類のシンボルは、肩書き、服装、そして装飾品である。 | |
282 | 専門家の手口 | 専門家は、自分にとって少し不利な情報を私たちに提供する。そうすることによって、自分を誠実そうに見せかけ、その後提供するすべての情報が観察者にとって信頼できるものであるように思い込ませる。 |
第7章 希少性−−わずかなものについての法則
P | 項目 | 適用 | |
---|---|---|---|
285 | <少ないものがベスト> | ||
286 | <数少ないものの価値> | ||
287 | <数量を限定することの効果> | 希少性の原理が最も明瞭に使われているのは『数量限定』の戦術だと思います。 | |
289 | 時間の制限> | 数量限定の技法に関連したものに『最終期限』という戦術があります。 | |
289 | 限定用法 | 『独占・特別・公開・終了・近し』 | |
290 | <心理的リアクタンス> | 心理学者ジャック・ブレーム……この理論によれば、自由な選択が制限されたり脅かされたりすると、自由を回復しようとする欲求によって、その自由(および、それに結びつく物やサービス)を以前よりずっと欲 するようになります。それゆえ、希少性が増大して−−あるいは何か別な理由によって−−ある対象にこれまでのように接することができなくなると、以前よりもその対象を望んだり所有したりしようとすることで、妨害に反発(リアクト)するのです。 | |
292 | おそるべき二歳 | ||
296 | ロミオとジュリエット効果 | ||
300 | <検閲> | ある情報を得ることを禁じられると、私たちは、禁じられる以前よりもその情報を求めるようになり、その情報をより好ましく思うようになるのです。検閲された情報が聴衆にもたらす効果について興味深いのは、聴衆が以前より情報を求めるようになるということではありません。それは当然のことといえるでしょう。興味深いのは、聴衆が情報を受け取らないのにその情報を信じるようになるという点です。 | |
304 | ブーメラン効果 | ||
306 | 希少性が説得力を増す | 希少性の情報に関するニュースそれ自体も希少なものであるという事実が、そのニュースの説得力をとりわけ高める。 | |
306 | 残り物の福 | ||
308 | 革命のタイミング | 改善しつつあった経済的・社会的状況が急激に悪化の方向に転じたときに、革命は最も起こりやすくなる。 | |
311 | 競争 | 限られた資源を追求する際、競争することが重要な意味をもつ……ある物の数が少なくなった時にそれが一層欲しくなるだけでなく、それを求めて競争している時に最も欲しくなる。 | |
313 | 『摂食狂乱』現象 | ||
314 | 競売 | ||
322 | 制限された情報 | 制限された情報はより説得力がある | |
325 | 原始的な自動性 | 人や物について何か決定を下すとき、私たちは利用可能な関連情報をすべて利用するわけではなく、全体を代表するほんの一部の情報だけを使います。……現代生活の速いペースによって、私たちはこの種の簡便法を一層多く使うことを余儀なくされているのです。 | |
326 | 承諾の判断基準 | 承諾するかどうかを決めるとき、私たちは、お返し、一貫性、社会的証明、好意、権威、希少性という要因をあれほど頻繁に、そして自動的に採用するのです。 | |
326 | よい証拠は一つで十分 | 急いでいるとき、ストレスを感じているとき、確信がもてないとき、関心がもてないとき、注意がそらされているとき、あるいは疲れているとき、私たちは利用可能な情報にあまり注意を払いません。これらの状況のもとで決定を下すとき、私たちはしばしば、『よい証拠が一つで十分』という原始的ではありますが、そうせざるを得ないやり方に逆戻りしてしまうのです。 | |
327 | 精神装置 | 洗練された精神装置をもって人間は一つの種としてこのよい君臨してきました。しかし、まさにこの精神装置が、複雑で、速いペースの、情報過多の環境を作り出し、その結果、遠い昔に人間が乗り越えてきたはず の動物たちと同じようなやり方でこの環境を扱わざるを得ないようになったのです。 | |
327 | 十五年以内の情報 | 今や私たちは、その情報の大部分が十五年以内に得られた世界に住んでいる。 | |
328 | 文明化された生活 | 文明化された生活をいくつかの単語で表現するとすれば、新奇性、一時性、多様性、加速性ということになる。 | |
330 | 簡便反応の敵には | 簡便反応……反撃を加えるべき本当の敵は、自然な状況では簡便反応の手掛かりとなるはずの証拠を偽ったり、捏造したり、不正に提示する人々だけです。 | |
331 | 同調傾向 | 私たちは、自分と同じような人々が行っていることをやろうとする傾向があります。 | |
332 | 簡便法の敵 | 相手に応酬するためには、私たちは積極的にボイコット、脅し、対決、非難、弾劾演説、その他あらゆる手段に訴えることが必要なのです。私は、自分がもともと喧嘩好きな人間だと思っていません。その私が積極的にこのような喧嘩腰の対応を唱道しているのは、これがある意味で、搾取する人に対する私自身の、そして私たちすべての戦いだと考えているからなのです。 | |
333 | 承諾誘導の引き金 | コミットメント、お返しの機会、類似した他者の承諾反応、好意あるいは友愛の感情、権威からの命令、希少性に関する情報 |