章 | P | 項目索引 | 適用 |
---|---|---|---|
2 | 38 | 愛の爆弾 | 賛美のシャワー |
11 | 354 | 悪の勝利 | エドマンド・バークの言葉を使えば、『悪が勝利するのに必要なのは、良い人が何もしないことだけ』 |
4 | 137 | 新しい名前 | 新しい人格の再凍結をするため、あるカルトはその人に新しい名前を与える。多くのカルトは、その人の服装のスタイル、ヘアカット、その他何であれ、彼に過去を思い出させるようなものは変えてしまう。 |
7 | 238 | 当たり前 | カルトを経験すると、自分がいままでどんなたくさんのことを当たり前と思っていたかに気付く。家族、友人、教育、物事を決める能力、個性、自分の信念体系のすべて。 |
3 | 78 | 熱い席 | hot seat |
5 | 169 | アメリカ日蓮正宗 | |
7 | 238 | いいものは持って出る | カルトにいたとき起こったことを、何もかも全部否定的に見ないことが、本人にも家族にも大切である。人々がやめる決意をしたとき、私はいつも、【いいことは忘れないで持って出るように】とすすめる。 |
5 | 152 | 依存症 | カルトの平会員は例外なしに、なかなか決断が下せない。たぶん、外部志向が強すぎるためである。こういう極端な依存状態にあるため、メンバーはいつも、自分がどう考え感じ行うべきかを教えてくれる人を必要としている。 |
10 | 309 | ……いつまでも他人を頼って、他人の指示を権威を求めるという強い傾向である。メンバーが共同で暮らしていたグループでは、生活上の決定はほとんどリーダーが行っていた。メンバーは、自己を捨て、従順であるようにすすめられていた。こういう形の依存症は、その人の自己というものを低く評価させ、その人が個人として発達しようとする願望と能力を妨げる。 | |
10 | 310 | 依存性の具体的形態のひとつは、自分で意志の決定がしにくくなるということである。 | |
11 | 348 | 自分にとって何をするのが最善のことか、自分よりも自分以外の人のほうがよく知っていると信じるようになると、その人は本当に危険である。 | |
10 | 310 | 依存症の克服 | 意志決定も訓練によってたやすくなる。(略)依存症の問題は、本人の自尊心と自身を助長してやることで克服できる。 |
5 | 152 | 依存症の助長 | リーダーがメンバーの他者依存性を助長するために使う手口は、カルトが違っても驚くほど似かよっている。メンバーを頻繁に新しい見知らぬ場所へ移動させ、仕事の任務を変え、気まぐれに昇進させたり左遷したりする。すべては心のバランスを失わせておくためである。 |
6 | 194 | 一枚岩 | 多くのグループが、自分たちの団体は大きく、強力で、一枚岩だというイメージを与えようとしている。 |
3 | 85 | 一般人の誤信 | 自分だけは決してだまされないと考えている。それが問題なのだ。 |
付録 | 376 | イデオロギー的全体主義 | 『聖なる科学』、『特殊用語の詰め込み』、そして『教義の優先』という原理である。 |
6 | 192 | 嫌がらせ | あるもっとも破壊的カルトは、元メンバーを実際に突きとめて、あからさまな暴力、あるいは法的嫌がらせ、感情的脅しや脅迫などでだまらせようとする。 |
3 | 100 | 医療行為なし | あるカルトは、医療上の問題に対する唯一の処置として、信仰による癒しを唱道する。その結果は苦しみであり、死でさえある。自分の病気には『霊的な』原因があるのだと言われ、グループへの 完全に献身してなかったことが罪だったと感じさせられる。カルトによっては、メンバーが医者のところへ行くのは不信仰だと教え、行くなら追放すると脅しさえする。 |
10 | 304 | 運営の仕方 | 運営の仕方だけは我慢できないという人々が何千人もいる。この人たちは心の中で、いつか自分たちが戻れるよう、グループが方針を変えてくれる日を待っているのだ。 |
7 | 238 | 永久的変化 | 破壊カルトにいたという体験は、その人に永久的変化を与えることも疑いない。 |
5 | 159 | エスト | =est いまは『フォーラム(Forum)』と名前を変えている−−のような大々的意識訓練プログラム |
2 | 47 | エリート意識 | 私は神に『選ばれた』のであり、私の人生行路は今やそのただひとつの『真の道』にあるのだという思いで、私の心は高ぶった。 |
2 | 48 | ここで与えられたエリート的地位のため、私は特別なものだという気持ちになった。 | |
2 | 54 | 地上における神の代理者としての承認を受けた(と信じていた)。 | |
2 | 64 | 自分がしていることは宇宙的意義をもっているのだという、あの興奮した感情が懐かしかった。ひたむきさが生みだす、あの力強い感覚が懐かしかった。 | |
5 | 150 | エリート心理 | <抜粋>メンバーたちは、人類のエリート部隊の仲間だという感じをもたされる。自分たちは特別なのであり、献身的な前衛隊となって、人類史上もっとも重要な行動に参加しているのだというこの気持ちこそ、彼らの自己犠牲と重労働を続けさせる情緒的接着剤である。一つの共同体として、彼らは人類を暗黒から新時代へと導くため(神や歴史や超自然的な力によって)選ばれたのだと感じている。 カルトのメンバーたちは、強い使命感だけでなく、自分たちは歴史の中で特別な場所を占めているのだと強く意識している。自分たちの偉大さは永く後世に認められるのだ(のだと信じている)。 皮肉なことに、カルトのメンバーたちはおたがいに、ほかのカルト集団に入ったものを見下げている。すぐ、『あの人たちは、カルトに入っているのだ』とか『【彼らは】洗脳されている』とか認めてしまう。自分自身の状況から抜け出して、自分を客観的に眺めることができないのである。 エリート主義と運命の意識には、重い責任がともなう。もしその義務を完全に果たさないなら、彼らは全人類の期待に背くことになるのだと教えられる。 平会員たちは、先輩や勧誘されそうな人に対しては謙遜だが、外部者に対しては傲慢である。カルトのメンバーはしばしば、【いままでの人生のどんなときに感じたよりも】責任が重いのだと感じている。 世界が彼らの双肩にかかっているように感じて歩き廻る。カルトのメンバーに対して外部の人間が『カルトに入ることによって現実逃避や責任逃れをしてはだめだ』と言っても、何を言っているのか当人にはわからない。 |
1 | 32 | 援助 | 『人々があなたを頼りにするようになるまでサービスと援助をして、それから彼らをコントロールせよ』(文鮮明) |
8 | 259 | 援助の仕方 | 第一は、【信頼関係を築くこと】である。信頼なしには何をしても効果がない。 第二の目標は情報の収集、とくにカルトのメンバーがどう考え、感じ、また現実世界をどう見ているのかについて、【情報を収集すること】である。 第三の目標は、いくつかの特別な手法と技術を使って【カルトへの疑いの種を植えつけ】、また【新しいものの見方を促進させること】である。 |
8 | 264 | 遅らせないこと | 専門家の助けを探し出せれば理想的である。大切な点はこれである−−【遅らせないこと】。 |
4 | 118 | 教え込み | マインドコントロールの第二の主要な構成要素である思想コントロールの内容は、メンバーに徹底的な教え込みをして、そのグループの教えと新しい言語体系に身につけさせ、また自分の心を『集中した』状態に保つため思考停止の技術を使えるようにすることである。良いメンバーであるためには、その人は自己自身の思考過程まで操作することを学ばなければならない。 |
4 | 111 | 教え込みの集会 | 破壊的カルトは、ふつう長時間の教え込みの集会を通じて、メンバーにトランス状態を起こさせる。反復と、それから強制的に注意を集中させること−−このふたつが非常にトランスを誘発させやすい。 |
10 | 312 | 音楽 | いろいろなグループが、ポピュラー・ミュージックを教え込みの一部として好んで用いる……無意識の中に強力な連想を作りだす。音楽は記憶を強くつなぎとめる役割を果たすため、多くのカルトが音楽を教え込みに用いる。 |
章 | P | 項目索引 | 適用 |
---|---|---|---|
10 | 308 | 解決 | 解決するのにいちばん効果的なのは、その特定グループの元メンバーと会って話すことである。 |
2 | 64 | 懐古 | グループの仲間が懐かしかった。とくに自分が勧誘した『霊の子』たちが懐かしかった。自分がしていることは宇宙的意義をもっているのだという、あの興奮した感情が懐かしかった。ひたむきさが生みだす、あの力強い感覚が懐かしかった。 |
4 | 130 | 解凍の助け | 誘導された瞑想、個人的な秘密の告白、祈祷会、激しい体操といった行為、さらにみんなで歌を歌うことさえも、解凍を助ける。 | 1 | 8 | 会話の態度 | (カルトのメンバーと話すときは)対決と最後通牒は避けるようにつとめる。 |
4 | 118 | 科学的な証明 | もっと全体主義的なグループは、自分たちの教義は科学的に証明されていると主張する。その教義は、あらゆる問題と状況についてのあらゆる疑問に答えるものだと主張する。個々のメンバーは、自分で考える必要はない。教義が彼にかわって考えてくれるのだから。 |
7 | 222 | 家族の愛、カルトの愛 | 家族の愛は、その人が自立し成人へと成長し、自分自身で人生の決定をする権利を指示する。カルトの愛は、もし本人がリーダーの命令と違う自分自身の決断をするならその愛を引っこめてしまうとおどし、その人をいつまでもだれかに頼る未成年状態にしておく。 |
11 | 351 | 家族感覚 | カルトに入った人が、はじめは、ひとつの大きな家族のようにふるまう人々のところにいるのが楽しいため惹きつけられたのだという話を、私は何度も聞いている。 |
10 | 330 | 勝ち残り組 | 自分が学んだことや、知りあって好きになった人々をすべて受け入れ、それを統合して、新しい自意識を作る必要があった。古い自意識を統合して新しい目標をつくることで、元メンバーたちはとても強くなる。彼らは勝ち残り組なのだ。彼らは苦難と虐待に耐え、情報と自己反省で敵を克服することができたのである。 |
10 | 333 | 破壊的カルトの元メンバーとは、勝ち残り組なのだ。この人たちは自分の力と強さを認めるべきである。カルト体験を耐えることができるのなら、ほとんど何でもやりとげることができる。 | |
3 | 77 | カルト | 辞典ウエブスターの記載 |
凡例 | 365 | cult | |
3 | 80 | カルトの四つのタイプ | 宗教カルト・政治カルト・心理療法または教育カルト・商業カルト |
6 | 180 | カルトの指導者 | 興味深いことに、今日のカルトの指導者には、かつて自分自身マインド・コントロールカルトの犠牲者だった人物が多い。 |
6 | 196 | カルトへの質問の仕方 | 【質問は常に率直に】、【また友好的な態度で行い】、【答えも具体的なことを要求すればいちばん効果がある】 |
7 | 238 | カルトをやめることはカルトをやめるということは、自分自身と『裸で』向きあい、自分が知っていたこと、信じていたことのすべてを分析してみる絶好の機会となる。そのような作業は、自分を解放してくれるものであると同時に、かなり怖い作業である。それは、人生を全部やりなおすチャンスなのだ。 | |
付録 | 371 | 環境コントロール | |
6 | 200 | 環境に引き込む | カルトの大部分の勧誘者たちは、何を信じているのかをすぐその場で説明したがらない。彼らは、あなたの好奇心を利用して、講義を聞くとか、ビデオを見るとか、その他何かのプログラムに出席するよう仕向ける訓練を受けている。こうして自分たちの環境に入れてしまえば、あなたに影響を与えるチャンスがずっと良くなることを彼らは知っているのだ。 |
4 | 121 | 感情コントロール | <抜粋> 人々をコントロールしておくのに必要な道具は、罪責感と恐怖感である。なかでも罪責感は、集団への順応と追従を作り出すための、単独ではいちばん重要な感情的手段である。
感情をとおしてだれかをコントロールをするためには、しばしば感情の定義をしなおさなければならない。たとえば幸福は、だれもが望む感情である。しかし、もし幸福とは神にいっそう近づくことだと定義され、そして神は(多くの宗教的なカルトがそうなのだが)いま不幸であられるだとすれば、その場合には、幸福である道は(神とともに)不幸になることである。だから幸福は、神にもっと近づくため苦しむことにある。このような観念はカルト的でない神進学の中にも見られる。しかしカルトでは、それが搾取とコントロールの道具になっている。 忠誠心と献身は、あらゆる感情のうちでいちばん高く評価されるものである。メンバーは、部外者に対して以外は、消極的な感情を抱いたり表現したりすることは許されない。メンバー決して、自分自身や自分に必要なことへ感情を向けず、いつもグループのことを考え、不平は絶対に言わないように教わる。彼らは決してリーダーを批判してはいけない。代わりに自分自身を批判すべきである(と教わる)。 カルトのメンバーは、ある瞬間ほめられたかと思うと、次の瞬間にはののしられて、心のバランスを失った状態におかれる。 過去の罪や過去の謝った態度を告白させることもまた、感情のコントロールの強力なしかけである。 感情のコントロールのいちばん強力な技術は、(第三章でふれた)恐怖症の教え込みである。カルトからの離脱を考えるだけで、人々は、発汗、激しい動悸、離脱の可能性を回避したいという強烈な欲求といったパニック反応を起こさずにはいられなくなる。離脱すれば暗黒の恐怖におそわれ、 なすすべもなく滅びる−−つまり発狂する、殺される、麻薬中毒になる、自殺する、などと教わる。講義と非公式なヒソヒソ声の噂話の両方で、そのような事例の実話が絶えず語られる。教え込みをされてしまったカルトのメンバーにとって、グループの外で安全を確保できると感じることは、ほとんど不可能に近い。 |
6 | 185 | 勧誘 | 破壊的カルトの勧誘者はほとんど、自分たちがそもそも勧誘をしているのだということを否定する。 |
6 | 186 | 破壊的グループはマインド・コントロールのテクニックを使って新会員を勧誘する。その人の人格を崩壊させ、教え込みをし、カルトのイメージに作りあげてしまうために、その人の体験をコントロールすることが欠かせない。 | |
6 | 197 | 勧誘のテクニック | はぐらかしの言葉(略)話題を変えることである。 |
4 | 137 | 勧誘は信念を増す | 社会心理学の研究が示したところによれば、自己の信念を他人へ売り込む努力ほど、その人の信念を固めるものはない。新メンバーにそれをさせることが、カルトの人格を急速に結晶させるのである。 |
3 | 74 | 危険なカルト | 危険なカルトは、その影響力をただメンバーの生活に対してだけ及ぼすだけでは満足せず、政治的影響力も獲得して、アメリカ社会を、いや世界さえ変革しようとたくらんでいる。 |
2 | 57 | 危険なメンバー | 組織の中で私のような地位のある者が回答不能な質問をするのは、危険なことだった。 |
10 | 301 | 傷つきやすい | マインド・コントロールの環境を抜けだしたばかりの人々の傷つきやすさ…… |
9 | 300 | 犠牲 | マインド・コントロールとは何かについて、いくつかの明確な定義を示されたことによって、私は、自分がどんなに犠牲にされ、同時に他人を犠牲にするようになっていたか、はっきりわかった。 |
3 | 87 | 犠牲者避難 | だれかに何かよくないことがあった(襲われたとか強姦されたとか)と聞くと、私たちはなぜその人が犠牲者になったのかを説明する理由を見つけようとする。その人は『よくない』場所を『よくない』時刻に歩いていたのではないか。起こったことに対して、直接的な因果関係を当てはめようとするのである。彼女によくないことが起こったとすれば、彼女が何かまちがったことをしたのに違いない。こう考える態度のことを『犠牲者非難』という。……犠牲者非難は、私たちが傷つけられた人から距離を置くうえで、心理的に重要な役割を演じる。……人々は、同じことが自分にも起こりうるという現実を認めないのである。カルトのマインド・コントロールの犠牲となった何百万の人々よりも、自分は強く立派だと信じたいので、『それは自分には絶対に起こらない』と信じる。 |
3 | 99 | 犠牲と苦痛の生活 | 破壊的カルトでの生活は、ほとんど犠牲と苦痛の生活である。破壊的カルトですべての時間を過ごす人々には、全体主義のもとで暮らすのがどんなことかわかるのだが、自分自身にどんなことが起こっているのかは、客観的にわからない。彼らはグループが作りだす空想の世界に暮らしている。 |
4 | 105 | 期待される人格に | マインド・コントロールは、ある人をひとつの集団環境へ浸すことで達成されるのであり、その人は、その環境でやっていくためには、自分の古い人格を捨てて、そのグループが期待する新しい人格を身につけなければならない。以前の自分の人格を思い出せるような現実−−彼の古い自意識を認めるようなもの−−はすべて排除され、それはグループの現実と置き換えられる。はじめはわざと役割演技をやっていても、ついには演技そのものが現実となる。彼は全体主義的なイデオロギーを身につけ、それが自分のものになってしまうと、それが以前の彼の信念体系にとって変わる。通常、人格の根本的変化と人生行路の劇的中断(変更)が起こる。この課程は、二、三時間で作動することもあるが、それが固まるには、ふつう数日か数週間かかる。 |
1 | 18 | 救出カウンセリング | |
7 | 205 | 救出カウンセリング | <抜粋> 救出の指導者 四つのこと・ 第一に私は、【その人が罠にはまっているのだ】−−つまり精神的能力を奪われて、そこから出られないようにされているのだ−−ということを実例で示す。 第二に私は、【その人が もともと自分から罠にはまろうと思ったのではない】ことを説明する。 第三に私は、【ほかのグル ープの人々も同じような罠にはまっている】のだということを指摘する。 第四に私は、【その罠から出ることができる】のだと話す。 【人間とは成長する必要と願望】を持っているものだ。 【人間はいつも自分にとって最善のものを選ぶものだ】というのも、私の観察であり信念である。 私はまた、【ひとりひとりの人がユニークであり、ひとつひとつの状況が違ったものである】と信じる。 カルトがその人にどんなことをしたのかをわからせることさえできれば、その人はほとんど必ず、 自由になることを選ぶ。人々は、自分のためいちばんよいと信じるものを選ぶからである。 |
5 | 148 | 教義こそ現実 | マインド・コントロールの環境の中では、グループが信じることを単なる理論だと見なす余地はない。教義こそ現実そのものなのだ。グループによっては、物質世界全体が幻想であり、したがって思考も願望も行動もすべて(カルトが定めたものを除き)実際は存在しないのだと教えさえする。 |
5 | 148 | 教義こそ現実 | <抜粋> カルトのいちばん効果的な教義とは、エリック・ホファーの言葉を使うなら『証明も評価もできな い』教義である。それは非常に複雑なため、解くのに何年もの努力が必要だということになってい る(もちろんそのころには、人々は教義を学ぶことよりも資金集めとか勧誘のようなもっと実際的な仕事へ向かってしまっている)。 教義は受け入れるべきものであって理解すべきものではない(という)。それゆえ、教義は、漠然 としていて包括的で、しかもじゅうぶんに調和がとれて一貫しているように見えなければいけない。その威力は、これこそ万物を包摂する唯一の真理なのだと断言するところからくる。 マインド・コントロールの正否は、その人の中に新しい人格を作りあげることにかかっているので、カルトの教義は、きまって、あなたは自分自身を信じてはならないと要求する。教義が、思想と感 情と行動のすべてを決める『マスター・プログラム』となる。それは完全で絶対的な真理そのもの なので、教義のどんな欠陥も、信者自身が不完全だからそう見えるのだとされる。信者は、たとい 本当には理解できなくても、決められたとおりの信条に従わなければならないと教えられる。同時に、真理をもっとはっきり『理解』できるようになるには、もっと働き、もっと信仰を深めなければならないといわれる。 |
4 | 125 | 教義の二重構造 | カルトのイデオロギーには『部外者』用の教義と『内部者』用の教義がある。部外者用の資料は、一般市民または新しい信者のために比較的穏便なものである。内部の教義は、その人がより深く入り込むにつれて、徐々に明らかにされていく。 |
6 | 184 | 内部者向け教義と外部者向け教義 | |
付録 | 376 | 教義の優先 | |
4 | 128 | 強制的説得 | マインド・コントロールを達成するための三段階の過程は、表情はごく簡単に見える。私はこの三つの段階を、【解凍】 unfreezing、【変革】 changing、【再凍結】 refreezingと呼ぶ。この三段階のモデルは、一九四〇年代の後期のカート・リーウィンの研究に由来するもので、エドガー・シャインの『強制的説得』という本の中で述べられている。 |
4 | 134 | 共通するテクニック | 宗教カルトに共通するひとつのテクニックは、神が彼らに何を望んでいるかをたずねるように教えることである。 |
11 | 351 | 共同体 | 元メンバーは、固く結ばれた共同体の仲間だったという感覚を何よりも懐かしむ。彼ら(破壊的カルトのメンバー)はいつも自己自身を責めるように条件づけられているので、リーダーが彼らの欠点を指摘しても、感謝の気持ちで反応してしまう。 |
5 | 153 | 共同体意識 | カルトのいちばんの魅力的な特質のひとつは、カルトが助長する共同体意識である。はじめ仲間の愛は無条件、無制限に見え、新しいメンバーは、蜜月のような称賛と注目で押し流されそうに感じる。 |
4 | 122 | 恐怖感 | 恐怖感は、ふたつの仕方でカルトのメンバーを結束させるのに使われる。 第一は、あなたを迫害する外部の敵を作りだすことである。(略) 第二は、リーダーに見つかり懲罰されるという恐怖感である。自分の仕事を良くやらないと何が起きるか、という恐怖感は、大きな効果がある。 |
3 | 89 | 恐怖症 | 恐怖症は人々から選択の自由を奪ってしまうのである。 |
3 | 89 | 恐怖症が、カルトグループやマインドコントロールとどんな関係があるのか。あるカルトではメンバーは、そもそもグループを離脱すること自体について、組織的に恐怖症にされている。今日のカルトは、メンバーの無意識の心の中に生々しい否定的なイメージを植え込み、メンバーがグループの外でしあわせだったりうまくやっていけると考えることをさえ不可能にしてしまうような、効果的な方法を心得ている。否定的なイメージを無意識に受け入れるように仕組めば、無意識はそれらのイメージがまるで真実であるかのように反応する。(略)彼らはやめたいという自分の願望にさえ気づいていない。自分はこのグループでこんなにしあわせなのだから、やめようなどと思うはずがないと考えている。このような人々は、グループをやめたあとの自分について、好ましいイメージを抱くことができないのである。 | |
3 | 92 | カルトの恐怖症も人々の選択の自由を奪う。メンバーは、グループの安全圏を離れると自分は破滅してしまうのだと本気で信じる。自分が霊的、知的、情緒的に成長する道はほかにないと考える。このマインド・コントロールの手法によって、彼らは事実上奴隷にされてしまっているのである。 | |
4 | 124 | 感情のコントロールのいちばん強力な技術は、(第三章でふれた)恐怖症の教え込みである。カルトからの離脱を考えるだけで、人々は、発汗、激しい動悸、離脱の可能性を回避したいという強烈な欲求といったパニック反応を起こさずにはいられなくなる。離脱すれば暗黒の恐怖におそわれ、なすすべもなく滅びる−−つまり発狂する、殺される、麻薬中毒になる、自殺する、などと教わる。講義と非公式なヒソヒソ声の噂話の両方で、そのような事例の実話が絶えず語られる。教え込みをされてしまったカルトのメンバーにとって、グループの外で安全を確保できると感じることは、ほとんど不可能に近い。 | |
5 | 155 | 私が出会ったどの破壊的カルトでも、恐れが大きな動機づけとなっている。 | |
5 | 155 | カルトでの生活は、ジェットコースターに乗っているようなものである。メンバーは、内部のエリートといっしょに『真理』を体験したという極端な幸福感と、自分を押し潰すような重い罪と恐れと恥の感情との間を上下に揺れる。問題はいつも【自分の】至らなさであり、グループの責任ではない。彼は基準を満たしていないことに絶えず罪を感じる。(略)こういう極端な揺れは、人間の活動能力に大きな犠牲を強いる。『昂揚』しているときは、メンバーはその熱情を大きな生産性と説得力に転換させることができる。しかしつぶれたときには、まったく活動できなくなってしまう。 | |
6 | 192 | 破壊的カルトは、メンバーがそもそもグループをやめること自体を怖がるように、恐怖症を心に植えつける。こうすることで彼らは、自由な選択の扉を閉ざしてしまう。人々は破壊的カルトに入る自由はもっていたのだが、やめる自由はない。実際、破壊的カルトの目には、だれかがそのグループをやめる『正当な』理由など存在しないのだ。 | |
9 | 296 | もしそのグループをやめでもしようものなら何が起きるかわからないという恐怖の教え込みは、ふつう無意識の次元で行われている。 | |
9 | 298 | 植え込まれている否定的な感情−−カルトのメンバーである以外のことをするのは怖いという感情。 | |
9 | 298 | いちど積極的な接点が確立すれば、グループの外での暗く悲惨に満ちた生活という、カルトの作りあげた情景は、変化しはじめる。 | |
10 | 306 | (あるメンバーは)やめると気が狂うという観念を(略)埋め込まれていた。驚いたことに、彼はやめたあと本当におかしくなった。両親は彼を病院へ連れていった。医師たちの意見では、彼はたしかにおかしい、実際分裂症だ、というのだった。青年はこの診断を、自分のリーダーが正しかった証拠だと解釈した。 | |
10 | 307 | (あるメンバーは)もしグループをやめようものなら自己破壊を起こすのだと条件づけられていた。そして実際やめてみると、まさにそのことが起こりはじめたのだった−−救出カウンセリングに出会うまでは。 | |
1 | 7 | 吟味 | 覚えておくこと−−もしそのグループが本物で確かなグループなら、どんな吟味にも堪えるものである。 |
10 | 313 | ぐらつき | 元メンバーの人は、もし自分が『ぐらつき』はじめたときには、単純に、しかし断固として、『これはたまたま何かの刺激で起こっただけで、すぐに過ぎ去るものだ』と自分に言い聞かせるべきである。 |
11 | 341 | クローン人間化 | カルトの人々はみな、そのグループへ入る時点で持っていたもとの人格とは関係なく、カルトごとに同種の人格性を帯びる傾向があるように見えた。私の考えでは、カルトは実はメンバーのもとの人格を抑えつけて彼らに新しい人格を植えつけるのだが(イークリーはこれを『クローン人間化』と言っている)。 |
11 | 341 | (正常な宗教などでは)特定の人格型(クローン化)へと順応させるプレッシャー(はない) | |
9 | 289 | クローンの世界 | 思想から感情、行動までみな同じというような世界を作りだすことを考えている煽動家(による世界) |
6 | 204 | 経験するのは無駄 | 危険な可能性ある状況に自分を置くというのは、正直なところ、やってみる価値のないことである。 |
10 | 328 | 経験を書き出す | カルト時代の体験を全部、書き出すこと…自分の体験を完全に見極める作業として、私はすべての元メンバーにこれをすすめる。 |
4 | 112 | 迎合の実験 | 【行動修正テクニック】、【集団への迎合】、そして【権威への服従】−−この三つの驚くべき力(略)これら三つの要素は、心理学の用語では『影響の作用』として知られているものである。 |
4 | 113 | 行動修正のテクニックが強力だとすれば、集団への迎合と権威への服従の影響もまた強力である。ソロモン・アッシュ博士による有名な迎合の実験……。 | |
9 | 275 | 決心 | 『いま知っていることを知っていたら、あなたは同じ決心をしましたか』 |
6 | 190 | 決断力の欠如 | マインド・コントロールの集団に入っている人のいちばん明白なしるしは、自分で決断を下す能力が欠けていることである。カルトのメンバーたちは、自分たちが自主的であることを外部の人に納得させようとするけれども、上辺のその先を探ると、彼らは上位者からの許可なしには重要な決断が下させないことが明らかとなる。こういう種類の依存症は、トップの指導部をのぞくあらゆるレベルのカルトのメンバーに明白である。 |
4 | 106 | 決定力の破壊 | 【個人が自己自身の決定を行うときの人格的統合性を壊そうとするシステム】だけを、私はここで『マインド・コントロール』と呼ぶ。マインド・コントロールの範質は、依存心と集団への順応を助長し、自立と個性を失わせることである。 |
4 | 118 | 言語(詰め込み) | 典型的な破壊的カルトは、独特な言葉と表現の『詰め込み言語』を持っている。私たちはシンボル(概念やイメージ)を使ってものを考えるのだが、そのシンボルは言語が提供してくれる。 |
4 | 139 | 言語(テープ) | カルトのジョンが話しているときは、彼の話し方は『ロボットのよう』、あるいはカルトの講義のテープ録音のようである。私はこれを『テープ』と呼んでいる。彼は場違いな熱烈さと音量で話す。 |
付録 | 376 | 言語(特殊用語) | 『特殊用語』の詰め込みとは、特殊用語がそのとおりの意味を持ってくること、そして言葉やイメージが神になることである。非常に単純化された言語というものは、月並みに見えるかもしれないが、まさにその単純さのゆえに、途方もない魅力と心理的威力を発揮できる。しかもそれは、それなりにつじつまがあっているので、当人は真理を体験したと主張するし、事実そう感じるのである。答えはすぐ手に入る。ライオネル・トリリングは、これを『無思想の言語』と呼んだ。 |
付録 | 376 | 言語(無思想の) | 特殊用語がそのとおりの意味を持ってくること、そして言葉やイメージが神になることである。非常に単純化された言語というものは、月並みに見えるかもしれないが、まさにその単純化のゆえに途方もない魅力と心理的威力を発揮できる。人生の−−しかも非常に複雑な若者たちの人生の−−どんな問題でも、一組の単純な原理に還元できる。しかもそれは、それなりにつじつまがあっているので、当人は真理を体得したと主張するし、事実そう感じるのである。答えはすぐに手に入る。ライオネル・トリリングは、これを『無思想の言語』と呼んだ。まず決まり文句と単純なスローガンがあって、本当ならじつに複雑な難しいはずの諸問題が、それに還元されてしまう。 |
4 | 118 | 言語(レッテル) | ある言葉をコントロールすると、思想をコントロールするのに役だつ。たくさんがグループが、複雑な状況を単純化してそれにレッテルをはり、カルトの決まり言葉に換言してしまう。このレッテルこそ、詰め込み言語を具体的な言葉に表したものなのだが、それが、ある状況でメンバーがどう考えるかを支配する。カルトの決まり文句または『詰め込み言語』は、また、信者と外部の人々の 間に見えない壁をつくる。詰め込み言語は、メンバーたちが自分を特別だと感じるのを助け、彼ら を一般大衆から引き離す。詰め込み言語はまた、メンバーが何のことを話しているのか理解したいと思っている新参者を混乱させ、真理を『理解』するためには自分はひたすらもっと勉強しなけれ ばいけないのだと思わせるのに役だつ。実際は、詰め込み言語を身につけることで、彼らはいかに【考えない】かを学ぶにすぎない。彼らは、理解するとは信じることだということを学ぶ。 |
6 | 189 | 健康維持への無敗慮 | メンバーの健康を維持するためにほとんど何もしないのが、破壊的カルトの特徴である。 |
11 | 343 | 現行法の立場 | 現行法は、暴力の行使またはその危険がないかぎり、マインドコントロールなるものが存在すること自体認めない。(略)実際、法というものは、知らないあいだに破壊的カルトの犠牲となってしまった人々よりは、むしろ破壊的カルトの方を守りがちである。(略)カルト集団には途方もない資力があるため、彼らはそれで最高の弁護士を雇い、批判者や元メンバーに対するいやがらせの訴訟(勝ち目はなくても訴えられた人は迷惑)を起こすことができる。 |
3 | 99 | 健康問題=精神問題? | 健康上の問題の原因は、自分の人格的あるいは精神的な弱さなのだと感じさせられる。 |
9 | 299 | 幻想 | 私は、自分のしてきたことが客観的に見えるようになった結果として、グループをやめた。私は、(略)教え込みの修練会でつくられた『幻想』に、身を捧げていたのだ。私はメシア、つまり戦争と飢餓と堕落を終わらせ、地上天国を打ち立てることのできる人物に従っているつもりだった。こういう崇高な目的のために、自分を犠牲にしてもかまわなかった。一人のメンバーとして、私は人々に愛と真理の究極的基準を教えているのだ−−そして模範的な生活をしているのだ、と思っていた。ところが恐ろしいことに、私は神の名において自分の誠実さをだめにしていただと気づいた。自分が組織の中で上昇して(略)私はますます憑かれた人間になっていった。権力がほとんど中毒になっていて、選択するときには、道徳的に正しいことより、自分の権力を守り増大させることを基準としはじめていた。 |
10 | 303 | 後遺症 | 多くの人々が(略)カルトの破壊的後遺症と多かれ少なかれ格闘している。集中力や記憶力の減退である。 |
4 | 116 | 行動コントロール | <抜粋> 毎日相当量の時間が、カルトの儀礼と教え込みの活動に使われる。また典型的な場合、メンバーは 達成すべき特定の目標や仕事が割り当てられ、こうして、自分の自由時間と行動とを制限する結果 となる。破壊的カルトの中では、メンバーはいつも何かすべきことがある。 自己処罰に積極的に参加する人は、やがて自分がその罰に値するのだと信じるようになる。 特定のグループにはそれぞれ、そのグループを結び合わせる特色ある儀礼的な行動のセットがある。それには、グループの信仰を表す比較的伝統的な方法とともに、型にはまった話しかた、身振り、表情などが含まれる。 もしだれかが『熱烈に』行動していないと、その人はリーダーに呼びつけられ、利己的だとか不純 だとか、あるいはじゅうぶんに一生懸命やっていないとか非難される。先輩メンバーのようになる ように迫られ、先輩の声の調子までまねる。 リーダーに対する服従こそ、身につけるもっとも大切な教えである。 リーダーといえども、だれかの内面の思想まで支配できない。しかし【行動】を支配できれば、感 情と精神はそれについてくる。 |
4 | 122 | 幸福 | 感情をとおしてだれかをコントロールをするためには、しばしば感情の定義をしなおさなければならない。たとえば幸福は、だれもが望む感情である。しかし、もし幸福とは神にいっそう近づくことだと定義され、そして神は(多くの宗教的なカルトがそうなのだが)いま不幸であられるだとすれば、その場合には、幸福である道は(神とともに)不幸になることである。だから幸福は、神にもっと近づくため苦しむことにある。このような観念はカルト的でない神学の中にも見られる。し かしカルトでは、それが搾取とコントロールの道具になっている。 |
9 | 259 | 幸福(思いこみの) | 私はこの集団の中で本当は幸福ではなかったのだということに気がついた。 |
5 | 151 | 傲慢 | 平会員たちは、先輩や勧誘されそうな人に対しては謙遜だが、外部者に対しては傲慢である。 |
4 | 135 | 交流会 | ほかの普通のメンバーとの『交流会』もたくさん行なわれる。そこでは過去の悪事が告白され、現在の成功物語が語られ、共同体意識がやしなわれる。 |
5 | 171 | 国際の道 | |
4 | 123 | 告白 | 過去の罪や過去の謝った態度を告白させることもまた、感情のコントロールの強力なしかけである。 |
付録 | 374 | 告白の儀式 | 絶対的純化は(一瞬または一回のことではなく)継続する過程である。その過程はしばしば制度化されており、また『告白』の過程と結びついて、罪と恥の意識をかきたてる源泉になっている。どのくらい強烈かは別として、イデオロギー的運動というものはかならず、その人の罪と恥という心理的仕組みを掌握して、その人の変革に強烈な影響を与えるものなのである。これは『告白』の過程の中で行なわれる。そしてこの課程がまた、それ自体の構造を持っている。人々が自分の罪を告白する集会には、まわりからきまったパターンの批判と、そして自己批判がつきものである。それは概して小さなグループの中で行なわれ、活発に、ダイナミックに、人格の変革をうながす。 |
9 | 260 | 個性と創造性の放棄 | 私は、(カルトに所属しているとき)自分の個性と創造性を放棄していたのだった。 |
2 | 52 | 誇大妄想 | 自分の行動のひとつひとつが歴史的・記念碑的な意味をもっているのだと思った。 |
3 | 100 | 子供の忠誠 | 子供たちは、忠誠を両親にではなくカルトのリーダーあるいは集団に捧げるようにと教わる。 |
3 | 101 | (カルトで教育された子どもは)両親と同じように、この世は敵意に満ちた場所だと教わり、現実を理解するにはカルトの教義に頼るほかなくさせられる。 | |
6 | 185 | ごまかし | 大部分のカルトの勧誘の基本的特徴は、【ごまかし】である。 |
章 | P | 項目索引 | 適用 | |
---|---|---|---|---|
4 | 117 | 罪悪感 | 自己処罰に積極的に参加する人は、やがて自分がその罰に値するのだと信じるようになる。 | |
4 | 121 | 罪責感 | なかでも罪責感は、集団への順応と追従を作り出すための、単独ではいちばん重要な感情的手段である。 | |
4 | 136 | 再凍結 | <抜粋> (再凍結された)『新しい』人間の最初でもっとも重要な仕事は、以前の自分をさげすむことである。いちばんいけないのは、その人が自分らしく行動することである。(略)その人の記憶はゆがめられ、過去の良いことは極小に、罪や失敗や心の傷や罪責感は極大に考えるようになる。 再凍結の間、新しい情報を伝えていくおもな方法は、『型にはめることmodeling』である。 カルトの私(ハッサン)という人格が固まるにつれ、私はかれ(リーダー)のように考え、彼のように感じ、彼のように行動したいと思った。 新しい人格の再凍結をするため、あるカルトはその人に新しい名前を与える。多くのカルトは、その人の服装のスタイル、ヘアカット、その他何であれ、彼に過去を思い出させるようなものは変えてしまう。 メンバーはしばしばそのグループ特有の専門語または特殊用語を話すようになる。 社会心理学の研究が示したところによれば、自己の信念を他人へ売り込む努力ほど、その人の信念を固めるものはない。新メンバーにそれをさせることが、カルトの人格を急速に結晶させるのである。 あるグループは、終日終夜の物乞いといったような困難で屈辱的な方法で資金を調達する。これらの経験は栄光ある殉教の一形態となり、グループへの献身を凍結させる助けとなる。 『先輩』メンバーとじゅうぶんな時間を過ごしたのち、新会員はついに自分がほかの新会員を訓練することをまかされる日が来る。こうして被害者が加害者となり、破壊的システムを永続させるのである。 | |
2 | 70 | 催眠 | ||
4 | 129 | 催眠 | 人を解凍してその防御機構をはぐらかすためのもうひとつの強力な手段は、催眠である。とくに効果的なのは、相手の混乱を利用してトランス(忘我)状態を引き起こす技術である。混乱は、ふつう、矛盾する情報が一見調和したかたちで伝えられるときに生じる。 | |
4 | 132 | 反復、単調、リズム−−これらは人をあやす効果のある催眠の律動であり、形式ばった教え込みは、おもにこの律動の中で行なわれる。洗練された講師は興味を持続させようとして話に変化を加えるが、趣旨は毎回同じである。 | ||
4 | 111 | 『催眠術の覚え書き』 | ||
3 | 95 | 詐欺師 | 詐欺師……カルトの勧誘者も同じ技術をたくさん使うが、彼らは、あなたに加入してほしいだけである。彼らのほとんど全員が、ある時点では自分自身被害者だった。彼らは、自分のしていることが本当にあなたのためになるのだと信じている。だが彼らの欲しいのは、あなたの金よりも価値あるものだ。彼らは、あなたの心がほしいのである!もちろん彼らは、結局はあなたのお金も取る。だが彼らはふつうの犯罪者のように逃げてはいかない。彼らはあなたにも加わってほしいのだ。それだけでなく、あなたも出ていって、ほかの人に同じことをするようになってほしいのである。 | |
1 | 30 | 錯覚 | メンバーたちは自分の捧げる時間と金と努力が世界の救いに真に貢献しているのだと信じている。 | |
11 | 350 | 差別 | 単に異なる信条をもっているからといってだれかを差別するのは、違法であるだけでなく、悲しむべきことである。 | |
2 | 38 | 賛美のシャワー | 愛の爆弾 | |
5 | 156 | 時間への態度の変化 | <抜粋> メンバーの過去は書き直される。 見当識 現在に対するカルトメンバーの意識も、操作を受ける。メンバーは、課せられている目の前の仕事のことで非常に切迫感を感じている。(略)現在のプロジェクトを私がどれだけうまく成しとげるかで、世界は天国にも地獄になるのだ、という気持ちを抱いていたのを覚えている。 カルトのメンバーにとって未来とは、ついに大きな変革が来て報いられるときか、でなければ自分が罰を受けるときである。 | |
4 | 120 | 思考停止 | カルトのメンバーの思想をコントロールするのにいちばんよく使われる効果的な方法は、【思考停止の儀礼】である。 | |
4 | 121 | 思考停止を用いることで、メンバーたちは、実際は自分をただ中毒患者にしているだけなのに、自分はいま成長しているのだと考える。ある人が思考停止の技術を大幅に使うカルトから離れてから、その中毒を克服できるまでには、困難な禁断症状の過程を通過しなければならない。 | ||
4 | 121 | 思考停止は、現実を吟味する人間の能力を妨げるいちばん直接の方法である。実際、もしだれかが自分のグループとの関係を積極的にしか考えることができないとすれば、彼はほぼ確実にやられているのだ。教義は完全であり、またリーダーは完全なのだから、持ちあがってくる問題は何でも、個々のメンバーの落ち度とみなされる。彼はいつも自分を責め、もっと一所懸命働くことを身につける。 | ||
9 | 289 | ものを考えないでただリーダーのいうことに従うように教えるグループは、どんなグループでも危険だ。 | ||
9 | 289 | (カルトにいるときは)疑問や矛盾のことをゆっくり考える暇が全然なかったのだった。『良い』会員として、そういうときはほとんどいつも『思考停止』にならなければならなかった。 | ||
9 | 295 | カルトの人間はみな、リーダーや教義や組織についての『否定的な』考えはすべて停止するように、条件づけられている。また、自分のグループはほかのどんなグループとも違い、それより優れているんだ信じるように教え込まれている。 | ||
9 | 295 | 思考停止の作用は、『正面攻撃』を受けるとすぐに働きだす。 | ||
9 | 295 | 間接的な情報伝達の方法で、思考停止の仕組みを避けて通る。 | ||
4 | 121 | 自己批判 | 教義は完全であり、またリーダーは完全なのだから、持ちあがってくる問題は何でも、個々のメンバーの落ち度とみなされる。彼はいつも自分を責め、もっと一所懸命働くことを身につける。 | |
4 | 122 | 彼ら(破壊的カルトのメンバー)はいつも自己自身を責めるように条件づけられているので、リーダーが彼らの欠点を指摘しても、感謝の気持ちで反応してしまう。 | ||
4 | 130 | コントロールされた環境で長期間……混乱させる言語と情報を聞かされつづけると、だれでも自分の批判的判断を中止してしまうのがふつうである。そして、ほかの人々がみなやっていると思うものに自分を合わせてしまう。そのような環境では、ほとんど人は相手よりも自分を疑い集団の方に従う傾向がある。 | ||
4 | 131 | 大部分のカルトは、解凍のこの段階で、人々が弱っていくのに合わせ、『自分はひどい欠陥人間だ−−無能で精神的に病んでいるし、霊的に堕落している』という観念で本人を責め立てる。 | ||
10 | 305 | 自殺 | 多くの『放り出され組』にとっては、自殺こそ、本当に自分の苦しみにとってかわるものに思えてくる。 | |
4 | 109 | 思想改造 | マインド・コントロール−−思想改造−−ともよばれる。 | |
118 | 思想コントロール | マインドコントロールの第二の主要な構成要素である思想コントロールの内容は、メンバーに徹底的な教え込みをして、そのグループの教えと新しい言語体系に身につけさせ、また自分の心を『集中した』状態に保つため思考停止の技術を使えるようにすることである。良いメンバーであるためには、その人は自己自身の思考過程まで操作することを学ばなければならない。 | ||
4 | 121 | 思想コントロールは、グループの教義と一致しないあらゆる感情を、効果的に遮断することができる。それはまた、カルトのメンバーを従順な奴隷として働き続けさせるのに役だつ。いずれにしても、思想がコントロールされれば、感情と行動もまたコントロールされるのである。 | ||
119 | 思想コントロールのもうひとつの重要な側面は、グループに批判的な<情報はなんでも閉めだすようにメンバーを訓練することである。その人のもつ典型的な防衛機構(それには正しい情報が必要である)を歪めて、新しいカルトの人格を以前の古い人格から防衛するのである。 | |||
11 | 352 | 質問(批判的な) | 批判的な質問をしにくいような環境は何でも疑うよう、教えるべきである。 | |
8 | 263 | 質問の仕方(メンバーへの) | 本人を脅かさない調子で追跡の質問をする−−つまり本人がその矛盾について考えないわけにはいかないように質問をする。 | |
10 | 310 | 自分の責任 | いつも上の者から許可を得なければならなかった人々(無責任)にとっては、『自分の責任』という世界に押し戻されることは、かなり当惑を感じることなのである。 | |
10 | 327 | 自分を信じる | 元メンバーたちは、【もう一度自分自身を信じるようになる必要】がある。 | |
9 | 301 | 社会復帰 | ともかく破壊的カルトをやめるのだからしあわせだが、そのあと『現実世界』の生活に慣れるのがとても難しい、ということである。やめてから、良い情報と良いカウンセリングを受けられないと、カルトで植えつけられた恐怖症をひきずり、まるで『時限爆弾』を抱えて歩くような状態になる。また多くのカルトメンバーは、あまりに長いこと正常な仕事や社会生活を離れて暮らしていたため、一人前の生活へもう一度慣れていく過程は、まるで苦しい山登りである。 | |
4 | 104 | 自由意志 | もし人々の自由意志がくつがえされてしまったら、世界はどうしてパラダイスになれるだろうか。もし文鮮明が権力を完全に掌握したら、世界は本当のところどんなふうになるだろう。私はこれらの問題を自問することによって、もはやマインドコントロールの手口を使う組織にいることはできないと結論した。私は、長年住みなれた幻想の世界をあとにしたのだった。 | |
5 | 149 | 修学 | カルトのいちばん効果的な教義とは、エリック・ホファーの言葉を使うなら『証明も評価もできない』教義である。それは非常に複雑なため、解くのに何年もの努力が必要だということになっている(もちろんそのころには、人々は教義を学ぶことよりも資金集めとか勧誘のようなもっと実際的な仕事へ向かってしまっている)。 | |
11 | 350 | 宗教への非寛容 | もしこの本のためにだれかが宗教のことで非寛容になることがあったら、私はとても悲しく思う。 | |
3 | 93 | 従順 | 『幼子のようになれ』 | |
5 | 152 | 集団への服従 | どの破壊的カルトでもみな、個人は集団に服従しなければならない。『全体目的』が焦点でなければいけない。『自己目的』が従でなければいけない。破壊的カルトと見なされるグループはどこでも、【自分のこと】を考えたり【自分のため】を考えたりすることは誤りである。まず、集団が来る。上位者への絶対服従は、カルトのいちばん普遍的な主題のひとつである。 | |
4 | 109 | 集団力学 | マインドコントロールは、露骨な物理的虐待は、ほとんど、あるいはまったくともなわない。そのかわり催眠作用が、グループ・ダイナミックス(集団力学)と結合して、強力な植え込み効果をつくりだす。本人は、直接おどされるのではないが、だまされ、操作されて、決められたとおりに選択をしてしまう。 | |
4 | 112 | 『社会心理学と集団力学のいくつかの基本原理』 | ||
6 | 181 | 修得したことを繰り返す だれかがマインド・コントロールにかかったまま、カウンセリングを受けずにグループをやめると、その人はとかく、自分が修得したことをもっていって、それをほかの人々に行いがちである。 | ||
4 | 138 | 殉教の誉れ | あるグループは、終日終夜の物乞いといったような困難で屈辱的な方法で資金を調達する。これらの経験は栄光ある殉教の一形態となり、グループへの献身を凍結させる助けとなる。 | |
付録 | 374 | 純粋性の要求 | ||
5 | 152 | 順応と個性 | (カルトでは)個性は悪である。順応が善である。 | |
5 | 150 | 情緒的接着剤 | メンバーたちは、人類のエリート部隊の仲間だという感じをもたされる。自分たちは特別なのであり、献身的な前衛隊となって、人類史上もっとも重要な行動に参加しているのだというこの気持ちこそ、彼らの自己犠牲と重労働を続けさせる情緒的接着剤である。 | |
4 | 125 | 情報コントロール | <抜粋> 多くの全体主義的なカルトでは、人々はカルト以外の新聞、テレビ、ラジオには最小限にしか接しない。これは、ひとつには彼らが忙しすぎて自由時間がないためである。それでも彼らが何かを読むとしたら、それはまずカルトが使った宣伝物か、あるいはメンバーがカルトに集中し続けるのを『助ける』ために検閲された資料である。 (メンバーは)元メンバーや批判者との接触を避けるようにいわれている。 情報をいちばんたくさん提供できるような人々こそ、(メンバーにとって)とりわけ避けなければならない人なのだ。 破壊的な組織はまた、いろいろな次元の『真理』を持つことで情報をコントロールする。カルトのイデオロギーには『部外者』用の教義と『内部者』用の教義がある。部外者用の資料は、一般市民または新しい信者のために比較的穏便なものである。内部の教義は、その人がより深く入り込むにつれて、徐々に明らかにされていく。 | |
4 | 125 | 情報提供者 | 情報をいちばんたくさん提供できるような人々こそ、(メンバーにとって)とりわけ避けなければならない人なのだ。 | |
9 | 292 | 贖罪 | 無意識のレベルで、このグループに加わることで自分の『罪』を罰していた。 | |
6 | 188 | 食事 | カルトの勧誘では、食事の変化もよく起こる。あるグループでは厳格な菜食主義を実行しながら、過度の量の砂糖を与えて、メンバーを『昂揚』させる。あるグループは頻繁に断食を奨励するが、体に対する事前事後の配慮は、ほとんど、あるいは全然しない。 | |
6 | 187 | 人格的変化 | 破壊的カルトの働きの、いちばんこれとわかる徴候は、新しいメンバーのこの急激な人格の変化である。 | |
4 | 105 | 人格の破壊 | 破壊的カルトから離脱した人々が直面する最大の問題は、たぶん人格の分裂ということである。 | |
4 | 105 | カルトのマインド・コントロールについて語り定義する方法はいろいろあるが、私としては、それは【個人の人格を分裂させるシステム】だと理解するのがいちばんよいと信じる。 | ||
付録 | 371 | 神瞰図 | 『自分たちだけがすべての現実を見ている』という確信である。『鳥瞰図』をもじって『神瞰図』と呼ばれることがある。 | |
4 | 138 | 人工的人格構造 | カルトのメンバーは、もはや自分自身として機能しない。彼は新しい信念と新しい言語を持った新しい人工的なカルト的【人格構造】を持ってしまっている。 | |
1 | 7 | 真実の組織 | 真に霊的な組織は、だましとかマインド・コントロールを使ったり、自由意志を奪ったりは絶対にしない。 | |
6 | 189 | 心身症 | 心身症がメンバーの間に蔓延している。たぶん助けと注意を無意識に求めていることの反映である。 | |
10 | 325 | 人生体験 | 一八歳でグループに入って三〇歳でやめたというような場合を想像してほしい。その人は、たいへんな量の人生体験を奪われたのだ。教育や職業訓練や人間関係だけではなく、とくに自己探求と人生の実習のために用意されていた二〇代というものが、まるまる失われてしまったのである。 | |
5 | 149 | 信の優先 | 教義は受け入れるべきものであって理解すべきものではない(という)。それゆえ、教義は、漠然としていて包括的で、しかもじゅうぶんに調和がとれて一貫しているように見えなければいけない。その威力は、これこそ万物を包摂する唯一の真理なのだと断言するところからくる。 | |
10 | 322 | 親密な関係 | 『現実世界』に生きはじめたカルトの元メンバたちが遅かれ早かれ直面することになるのは、ほかの人と存分に親密な関係を持ちたいという情緒的な願望が、長年の間一度も満たされていなかったという事実である。 | |
6 | 194 | 人民寺院 | 破壊的カルトは時とともに相当変わるものだろうか(略)。答えはイエスである。マインド・コントロールを使うグループは、はじめはとても良い動機で出発したのに、結果としてはメンバーを操作し世間を欺く結果に終わることがある。『人民寺院』の場合がまさにそれで、もともは、貧しい人々を助けることを目指した都市宣教運動だった。 | |
凡例 | 367 | 人民寺院 | ||
4 | 125 | 真理 | 破壊的な組織はまた、いろいろな次元の『真理』を持つことで情報をコントロールする。 | |
6 | 192 | 心理的囚人 | 破壊的カルトのメンバーは心理的囚人だということである。 | |
5 | 166 | 真理の駅 | ||
6 | 188 | 睡眠 | いちどメンバーになってしまうと、多くの場合、その人の睡眠パターンが顕著に変わる。睡眠不足は、多くの破壊的カルトで普通のことである。 | |
9 | 301 | 生活になれる | ||
2 | 59 | 精神状態 | 献身的なカルトのメンバーならだれでもそうだが、私も自分がじゅうぶん『純粋』でなかったことを責めた。 | |
4 | 121 | 成長 | 思考停止を用いることで、メンバーたちは、実際は自分をただ中毒患者にしているだけなのに、自分はいま成長しているのだと考える。ある人が思考停止の技術を大幅に使うカルトから離れてから、その中毒を克服できるまでには、困難な禁断症状の過程を通過しなければならない。 | |
付録 | 376 | 聖なる科学 | ||
5 | 151 | 責任回避 | カルトのメンバーに対して外部の人間が『カルトに入ることによって現実逃避や責任逃れをしてはだめだ』と言っても、何を言っているのか当人にはわからない。 | |
5 | 151 | 責任感 | エリート主義と運命の意識には、重い責任がともなう。もしその義務を完全に果たさないなら、彼らは全人類の期待に背くことになるのだと教えられる。 | |
5 | 151 | カルトのメンバーはしばしば、【いままでの人生のどんなときに感じたよりも】責任が重いのだと感じている。世界が彼らの双肩にかかっているように感じて歩き廻る。 | ||
4 | 125 | 世間にうとい | 多くの全体主義的なカルトでは、人々はカルト以外の新聞、テレビ、ラジオには最小限にしか接しない。これは、ひとつには彼らが忙しすぎて自由時間がないためである。それでも彼らが何かを読むとしたら、それはまずカルトが使った宣伝物か、あるいはメンバーがカルトに集中し続けるのを『助ける』ために検閲された資料である。 | |
6 | 190 | 破壊的カルトでは、大量の時間が集団活動に費やされ、自分のプライバシーとか友人や家族のための時間は最小限に抑えられる。そのカルトの資料以外のものを読んだり、カルトがしていること以外について知るための時間はほとんどない。もちろんメンバーは、『ふつうの』生活をしている外部者を説得しに、外へ出る。しかし、最近の出来事とか学芸や歴史についての長い議論へカルトのメンバーを引き込めば、彼らの大部分はそれにうといことが明らかになる。 | ||
5 | 173 | セト寺院 | ||
付録 | 374 | 全体主義のふたつの特徴 | 全体主義の次のふたつの特徴である『純粋性の要求』と『告白の儀式』は、よく知られているものである。 | |
4 | 138 | 選択の自由 | 何が『最善』なのかを決めるその倫理的な基準は、その人自身のものでなければならない。マインド・コントロールの環境の中ではその選択の自由こそ、人が最初に失うものである。 | |
3 | 92 | カルトの恐怖症も人々の選択の自由を奪う。メンバーは、グループの安全圏を離れると自分は破滅してしまうのだと本気で信じる。自分が霊的、知的、情緒的に成長する道はほかにないと考える。このマインド・コントロールの手法によって、彼らは事実上奴隷にされてしまっているのである。 | ||
4 | 107 | 洗脳 | 『洗脳(brainwashing)』とは、一九五一年にジャーナリストのエドワード・ハンターがつくった用語である。彼は、朝鮮戦争で捕虜になったアメリカの兵士達が突如として彼らの価値観と忠誠の対象を逆転させ、彼らが犯した架空の『戦争犯罪』を信じるようになる現象を説明する | |
5 | 150 | 選民意識 | 一つの共同体として、彼らは人類を暗黒から新時代へと導くため(神や歴史や超自然的な力によって)選ばれたのだと感じている。カルトのメンバーたちは、強い使命感だけでなく、自分たちは歴史の中で特別な場所を占めているのだと強く意識している。自分たちの偉大さは永く後世に認められるのだ(のだと信じている)。 | |
4 | 137 | 専門語 | メンバーはしばしばそのグループ特有の専門語または特殊用語を話すようになる。 | |
付録 | 377 | 存在権の配分 | もしだれかが絶対主義的あるいは全体主義的な真理観を持つと、彼にとっては、その光を見ていない人、つまりその真理を受け入れていない人は、ある意味で闇の中にいるのであり、悪と結合しており、汚れており、存在する権利を持たない。ここには『存在』と『無』という二分法が働いている。正当な存在は邪魔するものは押しのけられ、あるいは滅ぼさなければならない。存在する権利がない第二の部類に入れられた者は、心理的に内面の死滅または崩壊というすさまじい恐怖を経験する。しかし逆に受け入れられた場合には、自己をエリートの仲間と感じる大きな満足感がある。 | |
付録 | 377 | 生きる権利を持つ者と持たない者の間に明確な線を引くという全体主義的な衝動は−−さまざまな度合いで起こりはするが−−人間の根本問題を解決する恐ろしい方法となりうる。このような方法は、全体主義あるいはファンダメンタリズム(宗教であれ政治理念であれ、自分たちが根本だと信じる立場を排他的に主張する主義=根本主義)を含めて、すべて、各時代においては二重に危険なものである。 |
章 | P | 項目索引 | 適用 | ||||||||||||||||
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9 | 267 | 第一の鍵 | 親密な関係と信頼関係をきずく 自分の話している相手の身振り(ボデイランゲージ)をそのまま、まねる。 | ||||||||||||||||
9 | 267 | 相手を脅かさないような調子の言葉で話す。また裁きを下すような発言を避ける。 | |||||||||||||||||
9 | 267 | 第二の鍵 | 目標重視のコミュニケーションをする 大まかな原則はこうである−−【効果のあることをする】。 | ||||||||||||||||
9 | 268 | 第三の鍵 | 人格のモデルを作りあげる
| 9 | 296 | 第七の鍵 | カルトの外でのしあわせな未来を思い描かせて、恐怖の教え込みを解く もしそのグループをやめでもしようものなら何が起きるかわからないという恐怖の教え込みは、ふつう無意識の次元で行われている。 | ||||||||||||
5 | 152 | 高い目標 | リーダーがメンバーの他者依存性を助長するために使う手口は(略)不可能な高い目標を課して、もし『純粋』なら達成できるはずだと言い聞かせ、できないときには『不純さ』を告白させるというやりかたである。 | ||||||||||||||||
5 | 151 | 他者侮蔑 | 皮肉なことに、カルトのメンバーたちはおたがいに、ほかのカルト集団に入ったものを見下げている。すぐ、『あの人たちは、カルトに入っているのだ』とか『【彼らは】洗脳されている』とか認めてしまう。自分自身の状況から抜け出して、自分を客観的に眺めることができないのである。 | ||||||||||||||||
4 | 141 | 脱会カウンセリング | 脱会カウンセリングの本質的部分とは、彼または彼女が、自分で自分の体験を処理できるよう、それを明るみに出してやることなのだ。(略)マインド・コントロールの作用をもとへもどすために何が必要なのか、その鍵を握っているのは、この『本当の自己』である。 | ||||||||||||||||
4 | 128 | 達成の三段階 | <抜粋> マインド・コントロールを達成するための三段階の過程は、表面上はごく簡単に見える。私はこの三つの段階を、【解凍】unfreezing、【変革】changing、【再凍結】refreezingと呼ぶ。 この三段階のモデルは、一九四〇年代の後期のカート・リーウィンの研究に由来するもので、エドガー・シャインの『強制的説得』という本の中で述べられている。……彼の説明によれば、『解凍』 とは人格を崩壊させること、『変革』とは教え込みの過程、『再凍結』とは新しい人格を作り上げ強化する過程のことである。 | ||||||||||||||||
4 | 116 | 多忙 | 毎日相当量の時間が、カルトの儀礼と教え込みの活動に使われる。また典型的な場合、メンバーは達成すべき特定の目標や仕事が割り当てられ、こうして、自分の自由時間と行動とを制限する結果となる。破壊的カルトの中では、メンバーはいつも何かすべきことがある。 | ||||||||||||||||
11 | 335 | だまし続ける | これらのグループはこれからも大衆をだまして、何も異常なことはしていないと思い込ませつづけるだろう。 | ||||||||||||||||
10 | 320 | 黙らせる | 『反対者を黙らせる−−これが来るべき地上天国の姿なのですか』。 | ||||||||||||||||
2 | 50 | 堕落 | 自分の序列が上がるにつれてますます堕落していったということがはっきりわかる。文鮮明は私たちを彼自身の似姿に作り変えていたのである。あるとき彼はリーダーたちに実際こう言った−−もし私たちが忠実でありつづけ、使命をよく果たすなら、私たちはいつか、それぞれの国の大統領になれる。私たちもメルセデス・ベンツに乗り、個人秘書とボデーガードがつくようになるだろう。 | ||||||||||||||||
4 | 133 | 単調 | 形式ばった教え込みの会は−−催眠状態を誘発するためなので−−とても単調である。 | ||||||||||||||||
6 | 19 | 知識ある消費者 | 知識ある消費者になれば、時間と精力とお金を節約できる。破壊的カルトについて知識ある消費者になれば、あなたは自分の心を守れる。 | ||||||||||||||||
5 | 151 | 知識と力 | 彼ら(メンバー)は、自分たちがこの世のだれよりも善で、知識と力があるのだと思う。 | ||||||||||||||||
4 | 118 | 地図 | 全体主義のカルトでは、そのカルトのイデオロギーが『真理そのもの』、現実世界のただひとつの『地図』として、その人に身についてしまう。その教義(カルトのイデオロギー)は、入ってくる情報をフィルターにかける役割をするだけではなく、その情報についてどう考えるべきかも規制する。 | ||||||||||||||||
1 | 30 | 地上天国 | 文鮮明が新しいメシアであり、彼の使命は新しい『地上天国』をうち建てることだという統一教会の立場である。 | ||||||||||||||||
6 | 182 | チェック・アンド・バランス | リーダーシップのもうひとつの重要な側面として、組織内での権力の流れということがある。その組織には真の力のバランスを保つ仕組みがあるか。多くの破壊的カルトには役員会があるが、典型的な場合、それらはリーダーの繰り人形である。本当の仕組みは、カルトの指導者を全能の長(頂点)としていただくピラミッド構造である。その下に完全に従属した中核的な側近集団があり、さらにその下にサブリーダーたちがいる。この運営の仕組みは、チェック・アンド・バランス制(牽制と均衡)をいっさい許さない。指導者たちが絶対的権力を持つ。アクトン卿ががこう書いたとき、彼はまさにうまく言い当てたのである。『権力は堕落しがちであり、絶対的権力は絶対に堕落する』 | ||||||||||||||||
付録 | 373 | 仲介者 | 指導者たちが神とのあいだの仲介者になる。 | ||||||||||||||||
7 | 223 | 中核の自己 | カルトのマインド・コントロールは、決して、ある人の中核の自己(『ジョンのジョン』)を消し去ることに完全に成功しない。 | ||||||||||||||||
4 | 123 | 忠誠心と献身 | 忠誠心と献身は、あらゆる感情のうちでいちばん高く評価されるものである。メンバーは、部外者に対して以外は、消極的な感情を抱いたり表現したりすることは許されない。メンバー決して、自分自身や自分に必要なことへ感情を向けず、いつもグループのことを考え、不平は絶対に言わないように教わる。彼らは決してリーダーを批判してはいけない。代わりに自分自身を批判すべきである(と教わる)。 | ||||||||||||||||
4 | 121 | 中毒 | 思考停止を用いることで、メンバーたちは、実際は自分をただ中毒患者にしているだけなのに、自分はいま成長しているのだと考える。ある人が思考停止の技術を大幅に使うカルトから離れてから、その中毒を克服できるまでには、困難な禁断症状の過程を通過しなければならない。 | ||||||||||||||||
6 | 183 | 中毒(自分の影響力の) | 今日の破壊的カルトの指導者には、自分自身かつてカルトにいたため、意図的に金をもうけたり人々を利用したりというつもりからではなく、ただ妄想とマインドコントロールから行動している人物も多い。私がカウンセリングをして救出をした人々が入っていたいくつかのグループのリーダーは、『金銭のためにやっている』のではなく、私の見るところ自分の影響力に中毒になっている人間たちだった。多くの破壊的聖書カルトのリーダーは、目立った浪費家でもなく、神と聖書を自分より上の権威としているように見える。にもかかわらず、聖書と神意に関する彼らの解釈が、人々を操作しコントロールするのに使われているのである。 | ||||||||||||||||
5 | 164 | 超越瞑想 | |||||||||||||||||
6 | 195 | 『超越瞑想(TM)』のような組織に勧誘された人は、頭痛、不眠、不安の増大、その他の悪影響を受ける。しかしTMのメンバーは、自分たちの瞑想形式はすべての人によい効果があると信じているため、悪影響の苦情を言う人には、いま『ストレスが取れつつある』最中なんだから瞑想を続けるべきだ、と告げる。残念ながら、こういう問題を無視する結果は、深刻な健康問題や神経症、さらには自殺の傾向さえ引き起こしかねない。 | |||||||||||||||||
1 | 6 | 追跡調査 | 疑問が完全に消滅するまで、あらゆる追跡調査をする。 | ||||||||||||||||
4 | 118 | 詰め込み言語 | 典型的な破壊的カルトは、独特な言葉と表現の『詰め込み言語』を持っている。私たちはシンボル(概念やイメージ)を使ってものを考えるのだが、そのシンボルは言語が提供してくれる。 | ||||||||||||||||
3 | 101 | 強くなるカルト | いまのところ、破壊的カルトはますます多く、強くなり続けている。人々を奴隷にしてよいという、事実上の自由免許を持って活動している。 | ||||||||||||||||
5 | 158 | 出口なし | 破壊的カルトの中では、そこをやめる正当な理由というものは絶対にない。カルトでない諸団体−−加入者が自分で選んでやっていく固有の権利を認める−−と違って、マインド・コントロールの団体は、正当な『やめる理由』などというものは存在しないことを強調する。人々がやめる理由は、ただ弱さ、狂気、誘惑、(脱洗脳者による)洗脳、高慢、罪、等々でしかないとメンバーは教わる。メンバーたちは、もし自分がやめるようなことがあると、自分や家族や人類に恐ろしい結果が及ぶという信仰を、徹底的に教え込まれる。カルトのメンバーはよく『この道より良い道を教えてください、そうすればやめます』と言う。だが彼らは、自分が言ったことを証明するだけの時間も精神的手段(情報その他)も与えられていない。彼らは心理的な牢獄に閉じこめられているのである。 | ||||||||||||||||
3 | 79 | テッド・パトリック | プロの強制的説得者 | ||||||||||||||||
11 | 351 | テレビ鑑賞 | テレビ鑑賞の大部分は、私たちの知性や想像力や高尚な願望を刺激してくれない。かえって迎合性を助長し、歪んだ現実認識をつくりだす。 | ||||||||||||||||
付録 | 376 | 特殊用語の詰め込み | 『特殊用語』の詰め込みとは、特殊用語がそのとおりの意味を持ってくること、そして言葉やイメージが神になることである。非常に単純化された言語というものは、月並みに見えるかもしれないが、まさにその単純さのゆえに、途方もない魅力と心理的威力を発揮できる。しかもそれは、それなりにつじつまがあっているので、当人は真理を体験したと主張するし、事実そう感じるのである。答えはすぐ手に入る。ライオネル・トリリングは、これを『無思想の言語』と呼んだ。 | ||||||||||||||||
3 | 89 | 唱えごと | 過度の(長時間の)瞑想や唱えごとの技法を毎日使うように教え込まれた人々は、心理的にも生理的にも、マインド・コントロールの中毒になりやすい。このような精神の蒸留作用は、脳の化学物質の強烈な放出をうながし、それは分裂した意識状態をひきおこすだけではなく、不法な薬物が作りだすのと似た『昂揚』感をひきおこす。これらの技法を数年にわたって用いた元メンバーの何人かは、激しい頭痛、不随筋の痙攣、記憶力・集中力・決断力のような認識能力の減退などを含め、広範囲にわたる有害な副作用が残ると報告されている。 | ||||||||||||||||
10 | 312 | 唱えごと(布告) | メンバーに対して過度の瞑想や唱えごとや『布告』(超スピードで祈りを唱えること)や異言を要求するグループに長いこと入っていた人々については、そのカルトをやめてから少なくとも、一年間は、その人の意志でないことが起きると予想しておく方がいい。私がかかわったなかで、こんな訴えをした人々がおおぜいいる−−ふつうの会話をしている最中に、突然、ある言葉の途中で、ふと気がつくと、カルト時代に長年やっていた心を麻痺させるテクニック、つまりある言葉を無意識に唱えるというテクニックを使っていたというのである。 | ||||||||||||||||
3 | 78 | トランス | 忘我 | ||||||||||||||||
3 | 92 | 奴隷 | カルトの恐怖症も人々の選択の自由を奪う。メンバーは、グループの安全圏を離れると自分は破滅してしまうのだと本気で信じる。自分が霊的、知的、情緒的に成長する道はほかにないと考える。このマインド・コントロールの手法によって、彼らは事実上奴隷にされてしまっている | ||||||||||||||||
4 | 121 | 思想コントロールは、グループの教義と一致しないあらゆる感情を、効果的に遮断することができる。それはまた、カルトのメンバーを従順な奴隷として働き続けさせるのに役だつ。いずれにしても、思想がコントロールされれば、感情と行動もまたコントロールされるのである。 | |||||||||||||||||
9 | 265 | どんなカルトのメンバーと会っても、私は、この人は【奴隷にされているのだ】、ということを忘れないように心がける。 |
章 | P | 項目索引 | 適用 |
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5 | 150 | 仲間 | メンバーたちは、人類のエリート部隊の仲間だという感じをもたされる。自分たちは特別なのであり、献身的な前衛隊となって、人類史上もっとも重要な行動に参加しているのだというこの気持ちこそ、彼らの自己犠牲と重労働を続けさせる情緒的接着剤である。 |
5 | 154 | 本物の友情はよくないことであり、リーダーから暗にけなされる。カルトメンバーの情緒的忠誠は『縦的』(リーダーに対して)であるべきで、『横的』(同輩に対して)であるべきではない。友だちは危険である。もしひとりが離れるとほかの仲間を一緒に連れて行くから、というのが理由の一部である。もちろん、だれかがグループを棄てると前に彼へ向けられていた『愛』は怒りと憎しみとあざけりに変わる。 | |
5 | 154 | グループの内部では、人間関係は表面的なのがふつうである。というのは、深い個人的感情を伝えあうこと、特に否定的感情を伝えあうことは、強く禁じられているからである。カルト生活のこの特徴は、かなり普遍的なものである。メンバー自身の主観では、以前カルトの外でだれに対して感じたよりも親密な気持ちをカルトの仲間に感じるとしても、実際はいま言ったとおりである。カルトのメンバーたちが苦しさ(凍りつくような寒さやうだるような暑さの中での資金集め)や迫害(法律違反で逮捕されたり外部者から嫌がらせを受けたり)を経験するときには、たしかに彼らは、深い友愛と、めったにない殉教を共にするのだ、という感情を持つ。しかし本当の忠誠はリーダーに対してだけ向いているので、もっとよく見ると、そのような結びつきは実際は浅いもので、ときには単に個人的な幻想にすぎないことがわかる。 | |
5 | 145 | 仲間意識 | ある人々は確かに、破壊的カルトに入って、いままで家庭生活や社会活動で得られなかったような、自分自身のいろいろな問題の捌け口を得ることがある。多くの男女が、さまざまな社会的あるいは宗教的な事柄のためにほかの人々とチームになって働きたいという純粋な衝動を抱いている。ところが、理想家肌の人々にそのような機会を与え、そのうえ熱烈なグループ体験から生じる『仲間意識』という明らかな利益を与えてくれる。どんな人でも、人間関係を作りあげる意味深い道を探し求めようとすることには、私は賛成である。しかし私が学んだところでは、そういう道をも求める人々の方がそうでない人々よりも破壊的カルトに誘い込まれやすいのも事実である。 |
5 | 149 | 二者択一 | (現実世界は白か黒か、善か悪かの二者択一)どんな複雑に見えるカルトの教義でも、煎じつめれば、現実世界を白と黒、善と悪、霊的世界と物質的世界、『我々』対『彼ら』といったふたつの基本的な対極に還元してしまうものである。 |
4 | 118 | 教義はふつう絶対主義で、すべて『白対黒』に分ける。良いものはすべて、彼らの指導者とグループに体現している。悪いものはすべて外界にある。 | |
4 | 138 | 二重人格 | <抜粋> カルトのメンバーは、もはや自分自身として機能しない。彼は新しい信念と新しい言語を持った新しい人工的なカルト的【人格構造】を持ってしまっている。 マインド・コントロールのカルトのメンバーは、以前の自己とカルトの自己とが戦争状態になる。だから、カルトのメンバーと接するときは、彼が【ふたつの】人格を持っているのだということをいつも心に停めておくことが、とても大切である。 カルトのジョンが話しているときは、彼の話し方は『ロボットのよう』、あるいはカルトの講義のテープ録音のようである。私はこれを『テープ』と呼んでいる。彼は場違いな熱烈さと音量で話す。 脱会カウンセリングの本質的部分とは、彼または彼女が、自分で自分の体験を処理できるよう、それを明るみに出してやることなのだ。(略)マインド・コントロールの作用をもとへもどすために何が必要なのか、その鍵を握っているのは、この『本当の自己』である。 脱会カウンセリングの本質的部分とは、彼または彼女が、自分で自分の体験を処理できるよう、それを明るみに出してやることなのだ。(略)マインド・コントロールの作用をもとへもどすために何が必要なのか、その鍵を握っているのは、この『本当の自己』である。 |
4 | 130 | 二重の呪縛 | 『二重の呪縛double binds』のような催眠技術もまた、現実感覚を解凍する助けに使われる。二重の呪縛とは、一方では本人が自ら選んでいるのだという錯覚を与えながら、じつはコントロールする側が望んでいることを強制的に行わせてしまうものである。 |
3 | 98 | 入会の喜び | 典型的な場合、ひとたび破壊的なカルトに入ると、最初の何週間か何か月は、新婚生活のような楽しさを味わう。 |
4 | 114 | 認知不協和理論 | (四つの構成要素と関連する)認知不協和理論とは、(略)一九五〇年に、フェスティンガーはその基本原理をこのように要約した。『ある人の行動を変えれば、その人の思想と感情も、不協和をできるだけ少なくしようとして変化する』 |
4 | 133 | 眠り込み | 人々が眠り込むのは、かなり普通のことである。(略)彼らはただ催眠術によく反応しているのにすぎないのである。睡眠が多くのカルトの典型である。(略)軽く居眠りをしているあいだにも講義の内容は多少なりとも聞こえており、しかも通常の知的防御能力は減退しているため、ちゃんとその影響力を受けているのである。 |
5 | 155 | ノルマ | カルトのメンバーは、恐れと罪責感と恥の狭い廊下で暮らすようになる。問題が生じればそれは必ずメンバーの落ち度なのであり、【彼の】信仰の弱さ、【彼の】理解不足、あるいは『悪い先祖』、悪霊等々のせいである。メンバーは絶えず『基準(ノルマ)を満たしていないことに罪を感じている。 |
章 | P | 項目索引 | 適用 |
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6 | 178 | 破壊的カルト | 破壊的カルトの疑いがあるグループを調べ鑑定するとき、私はまず、神学やイデオロギーの分野ではなく、心理学の分野で作業する。破壊的カルトについて考える私の基準は、マインド・コントロールと暗示と集団心理−−この三つの影響作用と言うことである。私はそのグループが【何を信じるかではなく】、【何をするかを見る】。(略)破壊的カルトはメンバーを【彼ら自身の】信念体系へと回心させようとする。だが私のやりかたは、その人が多様な視点を調べ、物事を自分自身で処理するように励ますものである。 |
6 | 188 | 反対に我慢できない心 | 破壊的カルトは、どんな種類の反対も我慢できないのである。人々は賛成するか(または入会候補者とみなされるか)、さもなければ敵である。 |
4 | 138 | 被害者が加害者に | 『先輩』メンバーとじゅうぶんな時間を過ごしたのち、新会員はついに自分がほかの新会員を訓練することをまかされる日が来る。こうして被害者が加害者となり、破壊的システムを永続させるのである。 |
4 | 138 | 選択の自由 | 何が『最善』なのかを決めるその倫理的な基準は、その人自身のものでなければならない。マインド・コントロールの環境の中ではその選択の自由こそ、人が最初に失うものである。 |
5 | 149 | 低い自己評価 | マインド・コントロールの正否は、その人の中に新しい人格を作りあげることにかかっているので、カルトの教義は、きまって、あなたは自分自身を信じてはならないと要求する。教義が、思想と感情と行動のすべてを決める『マスター・プログラム』となる。それは完全で絶対的な真理そのものなので、教義のどんな欠陥も、信者自身が不完全だからそう見えるのだとされる。信者は、たとい本当には理解できなくても、決められたとおりの信条に従わなければならないと教えられる。同時に、真理をもっとはっきり『理解』できるようになるには、もっと働き、もっと信仰を深めなければならないといわれる。 |
付録 | 373 | 密かな操作 | =仕組まれた自発性 指導者たちが神とのあいだの仲介者になる。 (カルトのメンバーのあいだでは)私が『人質の真理』と呼んだものに帰着していく一方、それは部外者をだますのを正当化する結果にもなる。統一教化のいわゆる『天的な嘘』である。もっとも、ほかのカルトの環境にもこれと似たパターンはある。(『うそも方便』のようなこと) |
4 | 121 | 必要な道具 | 人々をコントロールしておくのに必要な道具は、罪責感と恐怖感である。 |
11 | 339 | 否定型分裂性障害 | (アメリカの)心理学者が使う診断手引書『DSM−V』に、カルトの犠牲者にふれた項目ができ(略)。『非定型分裂性障害三〇〇・一五』というのがその項目である。そこにはマインド・コントロールの病理学的影響の定義として、こう書いてある。一部を引用すると、『症例には、トランス類似の状態、離人症を伴わない現実消失感、比較的長期の分裂状態などがあり、この分裂状態は、長期にわたる強度の強制的説得(洗脳、思想改造、テロリストあるいはカルティストに監禁された状態での教え込み)にさらされた人々に生じることがある』 |
8章 | 263 | 批判記事の送付 | 【本人が求めてもいない批判的な記事を送ったりしない】。そういう情報は、実際は益よりも害のほうが多い。 |
4 | 125 | 批判者との接触 | (メンバーは)元メンバーや批判者との接触を避けるようにいわれている。 |
4 | 119 | 批判の排除 | 思想コントロールのもうひとつの重要な側面は、グループに批判的な情報はなんでも閉めだすようにメンバーを訓練することである。その人のもつ典型的な防衛機構(それには正しい情報が必要である)を歪めて、新しいカルトの人格を以前の古い人格から防衛するのである。 |
4 | 120 | もしカルトのメンバーに伝わった情報が、リーダーや教義やグループに対する攻撃だと見なされると、敵意の壁がそそり立つ。メンバー、いかなる批判も信じないように訓練されている。 | |
4 | 121 | 思想コントロールは、グループの教義と一致しないあらゆる感情を、効果的に遮断することができる。それはまた、カルトのメンバーを従順な奴隷として働き続けさせるのに役だつ。いずれにしても、思想がコントロールされれば、感情と行動もまたコントロールされるのである。 | |
2 | 48 | 服従 | −ハッサンの回顧− 私の願いはただ、この文鮮明という中心人物の指示に従うことだけだった。 (カルトでは)リーダーに対する服従こそ、身につけるもっとも大切な教えである。 |
5 | 152 | 服従(集団への) | どの破壊的カルトでもみな、個人は集団に服従しなければならない。『全体目的』が焦点でなければいけない。『自己目的』が従でなければいけない。破壊的カルトと見なされるグループはどこでも、【自分のこと】を考えたり【自分のため】を考えたりすることは誤りである。まず、集団が来る。上位者への絶対服従は、カルトのいちばん普遍的な主題のひとつである。 |
4 | 113 | 服従の本質 | 心理学者スタンレー・ミルグラムは、権威への服従について人々をテストした結果、被験者の九〇パーセント以上が、自分がもしこの命令に従えばほかの人に肉体的な苦痛を与えると思っていても、命令に従ってしまうということを発見した。ミルグラムはこう書いた、『服従の本質は、自分を他人の願望を成就する道具とみなすようになり、したがって自分の行動に自分が責任があると考えなくなってしまう、ということである』。 |
4 | 139 | ふたつの人格 | マインド・コントロールのカルトのメンバーは、以前の自己とカルトの自己とが戦争状態になる。だから、カルトのメンバーと接するときは、彼が【ふたつの】人格を持っているのだということをいつも心に停めておくことが、とても大切である。 |
6 | 204 | 分割して征服せよ | (カルトの勧誘の方法) |
4 | 132 | 変革 | <抜粋> 変革とは、ある人の古い人格が崩壊したために生じた空白に新しい人格を−−新しい行動と思考の感情のセットを−−押しつけて、その空白を埋めることである。 反復、単調、リズム−−これらは人をあやす効果のある催眠の律動であり、形式ばった教え込みは、おもにこの律動の中で行なわれる。洗練された講師は興味を持続させようとして話に変化を加えるが、趣旨は毎回同じである。 『あなたが“新しい真理”を完全に体験するのを邪魔しているのはあなたの“古い”自我です。あなたを引きずり下ろしているのはあなたの“古い概念”です。あなたを素晴らしい進歩から引きもどしているのはあなたの“理性的な”精神です。身を任せなさい。出発しなさい。信仰をもちなさい』 『その人が受け入れられることだけを語れ』−−これが経験則である。 形式ばった教え込みの会は−−催眠状態を誘発するためなので−−とても単調である。これらのプログラムのあいだに人々が眠り込むのは、かなり普通のことである。(略)彼らはただ催眠術によく反応しているのにすぎないのである。睡眠が多くのカルトの典型である。(略)軽く居眠りをしているあいだにも講義の内容は多少なりとも聞こえており、しかも通常の知的防御能力は減退しているため、ちゃんとその影響力を受けているのである。 変革のもうひとつの有効な方法は、『霊的体験』を誘発することである。 宗教カルトに共通するひとつのテクニックは、神が彼らに何を望んでいるかをたずねるように教えることである。 ほかの普通のメンバーとの『交流会』もたくさん行なわれる。そこでは過去の悪事が告白され、現在の成功物語が語られ、共同体意識がやしなわれる。 |
6 | 194 | 変化するカルト | 破壊的カルトは時とともに相当変わるものだろうか(略)。答えはイエスである。マインド・コントロールを使うグループは、はじめはとても良い動機で出発したのに、結果としてはメンバーを操作し世間を欺く結果に終わることがある。『人民寺院』の場合がまさにそれで、もともとは、貧しい人々を助けることを目指した都市宣教運動だった。 |
3 | 75 | 法の上 | 破壊的カルトはみな、目的は手段を正当化すると信じているので、自分たちは法の上にあると思っている。 |
5 | 152 | 没個性 | (カルトでは)個性は悪である。順応が善である。 |
4 | 141 | 本当の自己 | 脱会カウンセリングの本質的部分とは、彼または彼女が、自分で自分の体験を処理できるよう、それを明るみに出してやることなのだ。(略)マインド・コントロールの作用をもとへもどすために何が必要なのか、その鍵を握っているのは、この『本当の自己』である。 |
6 | 184 | 本物の組織 | 本物の組織は、教義を変えて大衆をだましたりしない。 |
章 | P | 項目索引 | 適用 |
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1 | 27 | マインド・コントロール | (マインド・コントロールとは)個人の人格(信念、行動、思考、感情)を破壊してそれを新しい人格と置き換えてしまうような影響力の体系(システム)のことである。多くの場合、その新しい人格とは、もしどんなものか事前にわかっていたら、本人自身が強く反発しただろうと思われるような人格である。 |
6 | 179 | マインド・コントロールが破壊するのは人々の人生そのものなのだ! | |
6 | 192 | 破壊的カルトのメンバーがその日その日の生活で思想・感情・行動・情報のコントロールを受ける度合いにも、しばしばバラツキがある。『好ましくない考え』をすることを禁じられたり、あるいは批判者や元メンバーと接触したりすることを禁じられている人々は、たとい外部の仕事について(カルトとは)別の住所に暮らしていてもなお、たぶんマインド・コントロールのもとにある。おそらく、完全に献身したフルタイムの人ほど強くはないだろうけれども。 | |
3 | 101 | マインドコントロールの被害は、何百万人ものカルトメンバーやその子ども、友人、愛する人々だけでなく、私たち社会全体に及ぶ。合衆国は最大の人的資源を奪われているのだ。人類にたいへんな貢献ができる聡明で理想に燃えた志のある人々を、カルトに奪われている。 | |
9 | 266 | マインド・コントロールを解く八つの鍵 | 第一の鍵 親密な関係と信頼関係をきずく 第二の鍵 目標重視のコミュニケーションをする 第三の鍵 人格のモデルと作りあげる 第四の鍵 カルト以前の人格に触れる 第五の鍵 現実世界をいろいろな角度から眺めさせる 第六の鍵 間接的な情報を与えて、思考停止の作用をさける 第七の鍵 カルトの外でしあわせな未来を思い描かせて、恐怖の教え込みを解く 第八の鍵 マインド・コントロールとは何か、また破壊的カルトの特徴とは何かを具体的に説明してやる。 |
5 | 149 | マスター・プログラム | マインド・コントロールの正否は、その人の中に新しい人格を作りあげることにかかっているので、カルトの教義は、きまって、あなたは自分自身を信じてはならないとと要求する。教義が、思想と感情と行動のすべてを決める『マスター・プログラム』となる。それは完全で絶対的な真理そのものなので、教義のどんな欠陥も、信者自身が不完全だからそう見えるのだとされる。信者は、たとい本当には理解できなくても、決められたとおりの信条に従わなければならないと教えられる。同時に、真理をもっとはっきり『理解』できるようになるには、もっと働き、もっと信仰を深めなければならないといわれる。 |
6 | 192 | まっとうなグループ | まっとうなグループは、破壊的カルトのように恐怖と罪意識を通してコントロールするというような極端には、決して走らないものである。 |
4 | 110 | 瞑想の意味 | 自分達は宗教だと主張する多くのカルトでよく『瞑想』と呼ばれるものは、カルトのメンバーがトランス状態に入る過程以外の何ものでもない。 |
1 | 30 | メシア | 文鮮明が新しいメシアであり、彼の使命は新しい『地上天国』をうち建てることだという統一教会の立場である。 |
6 | 185 | メンバーシップ | <抜粋> 大部分のカルトの勧誘の基本的特徴は、【ごまかし】である。 破壊的グループは新メンバーの勧誘にごまかしを使うことに何の良心の呵責も感じない。 破壊的カルトの勧誘者はほとんど、自分たちがそもそも勧誘をしているのだということを否定する。 勧誘候補者が受けるいちばん普通の印象は、なんと言っても、いま自分は新しい友人になりはじめているんだという印象である。 破壊的グループはマインド・コントロールのテクニックを使って新会員を勧誘する。その人の人格を崩壊させ、教え込みをし、カルトのイメージに作りあげてしまうために、その人の体験をコントロールすることが欠かせない。 破壊的カルトの働きの、いちばんこれとわかる徴候は、新しいメンバーのこの急激な人格の変化である。 破壊的カルトは、どんな種類の反対も我慢できないのである。人々は賛成するか(または入会候補者とみなされるか)、さもなければ敵である。 いちどメンバーになってしまうと、多くの場合、その人の睡眠パターンが顕著に変わる。睡眠不足は、多くの破壊的カルトで普通のことである。 カルトの勧誘では、食事の変化もよく起こる。あるグループでは厳格な菜食主義を実行しながら、過度の量の砂糖を与えて、メンバーを『昂揚』させる。あるグループは頻繁に断食を奨励するが、体に対する事前事後の配慮は、ほとんど、あるいは全然しない。 メンバーの健康を維持するためにほとんど何もしないのが、破壊的カルトの特徴である。 心身症がメンバーの間に蔓延している。たぶん助けと注意を無意識に求めていることの反映である。 破壊的カルトでは、大量の時間が集団活動に費やされ、自分のプライバシーとか友人や家族のための時間は最小限に抑えられる。そのカルトの資料以外のものを読んだり、カルトがしていること以外について知るための時間はほとんどない。もちろんメンバーは、『ふつうの』生活をしている外部者を説得しに、外へ出る。しかし、最近の出来事とか学芸や歴史についての長い議論へカルトのメンバーを引き込めば、彼らの大部分はそれにうといことが明らかになる。 マインド・コントロールの集団に入っている人のいちばん明白なしるしは、自分で決断を下す能力が欠けていることである。カルトのメンバーたちは、自分たちが自主的であることを外部の人に納得させようとするけれども、うわべのその先を探ると、彼らは上位者からの許可なしには重要な決断が下させないことが明らかとなる。こういう種類の依存症は、トップの指導部をのぞくあらゆるレベルのカルトのメンバーに明白である。 破壊的カルトのメンバーがその日その日の生活で思想・感情・行動・情報のコントロールを受ける度合いにも、しばしばバラツキがある。『好ましくない考え』をすることを禁じられたり、あるいは批判者や元メンバーと接触したりすることを禁じられている人々は、たとい外部の仕事について(カルトとは)別の住所に暮らしていてもなお、たぶんマインド・コントロールのもとにある。おそらく、完全に献身したフルタイムの人ほど強くはないだろうけれども。 破壊的カルトのメンバーは心理的囚人だということである。 破壊的カルトは、メンバーがそもそもグループをやめること自体を怖がるように、恐怖症を心に植えつける。こうすることで彼らは、自由な選択の扉を閉ざしてしまう。人々は破壊的カルトに入る自由はもっていたのだが、やめる自由はない。実際、破壊的カルトの目には、だれかがそのグループをやめる『正当な』理由など存在しないのだ。 まっとうなグループは、破壊的カルトのように恐怖と罪意識を通してコントロールするというような極端には、決して走らないものである。 あるもっとも破壊的カルトは、元メンバーを実際に突きとめて、あからさまな暴力、あるいは法的嫌がらせ、感情的脅しや脅迫などでだまらせようとする。 |
8 | 259 | メンバーに触れる姿勢 | カルトのメンバーと触れあうときにとれるいちばん効果的な構えは、【好奇心に満ちた】、【しかし気がかりだという態度】である。 |
1 | 33 | メンバーの結末 | 組織の中にいる人々の結末は、ただ自分を大切にする気持ちを壊されるだけでなく、自分が自分であるという感覚のすべてを壊されるということである。 |
6 | 183 | 妄想 | 今日の破壊的カルトの指導者には、自分自身かつてカルトにいたため、意図的に金をもうけたり人々を利用したりというつもりからではなく、ただ妄想とマインドコントロールから行動している人物も多い。私がカウンセリングをして救出をした人々が入っていたいくつかのグループのリーダーは、『金銭のためにやっている』のではなく、私の見るところ自分の影響力に中毒になっている人間たちだった。多くの破壊的聖書カルトのリーダーは、目立った浪費家でもなく、神と聖書を自分より上の権威としているように見える。にもかかわらず、聖書と神意に関する彼らの解釈が、人々を操作しコントロールするのに使われているのである。 |
5 | 156 | 燃え尽きる | 長期のメンバーのある者は、実際はやめはしないが、燃え尽きてしまうことがある。そういう人々は、もう業績の負担やプレッシャーに耐えることができない。彼らは、グループの方針の矛盾を指摘しはじめる。 |
3 | 75 | 目的と手段 | 破壊的カルトはみな、目的は手段を正当化すると信じているので、自分たちは法の上にあると思っている。 |
6 | 197 | 最も有効な勧誘の拒絶 | どんな勧誘者でも対応できない応答がひとつある。あなたが彼の前から立ち去るという応答である。 |
4 | 117 | モデリング | 特定のグループにはそれぞれ、そのグループを結び合わせる特色ある儀礼的な行動のセットがある。それには、グループの信仰を表す比較的伝統的な方法とともに、型にはまった話しかた、身振り、表情などが含まれる。 もしだれかが『熱烈に』行動していないと、その人はリーダーに呼びつけられ、利己的だとか不純だとか、あるいはじゅうぶんに一生懸命やっていないとか非難される。先輩メンバーのようになるように迫られ、先輩の声の調子までまねる。 再凍結の間、新しい情報を伝えていくおもな方法は、『型にはめること modeling』である。 |
2 | 62 | 元メンバー | 元メンバーたちは、私が(在籍当時に)予想していたような人たちではまったくなかった。私は訓練されていたので、彼らのことを冷たい、計算高い、霊的でない、金に飢えた、虐待を好む人間たちだと予想していた。だが、彼らは温かく、思いやりがあり、理想家で、霊的な心を持ち、敬意をもって私を扱った。元メンバーなのだから、彼らはみじめで罪悪感にさいなまれているはずだった。が、そうではなかった。彼らは統一教会をやめ、いま生きているとおりの人生を自由に生きれてしあわせなのだった。これはどれも私を当惑させた。 |
10 | 325 | 問題の未解決 | やめたあと最初の一年がたつと、カルトの元メンバーはこういうことがはっきりしてくる−−つまり、『自分自身が破壊的カルトに入る前もっていた問題は、カルトにいたあいだ、じつは何ひとつ解決されていなかったということである。これに気づくと、元メンバーは非常に失望することがある。 |
章 | P | 項目索引 | 適用 |
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1 | 34 | 約束の不履行 | 破壊的カルトのどれひとつ、約束するものを提供しない。みな、結局はメンバーを罠に掛け、彼らの自尊心を壊してしまうのである。 |
付録 | 370 | 八つの基準 | <抜粋> 一、環境コントロールmilieu control 二、密かな操作mystical manipulation または、仕組まれた自発性planned spontaneity 三、純粋性の要求the demand for purity 四、告白の儀式the cult of confesion 五、聖なる科学scred science 六、特殊用語の詰め込みloading of language 七、教義の優先doctrine over person 八、存在権の配分dispensing of existence |
6 | 202 | やめる理由 | 破壊的カルトは、だれかが去っていく理由というものは何であれいっさい受け入れない。またカルトグループは、メンバーに恐怖症を吹き込んで、彼らが批判者や元メンバーと絶対接触しないようにする。 |
9 | 299 | グループをやめる人々は『まちがった』理由でやめるのであり、それは彼らが弱かったり、修行が足りなかったり、物質主義にひたりたいと思っていたりするとためだという教え込み(をする。) | |
5 | 154 | 友情 | 本物の友情はよくないことであり、リーダーから暗にけなされる。カルトメンバーの情緒的忠誠は『縦的』(リーダーに対して)であるべきで、『横的』(同輩に対して)であるべきではない。友だちは危険である。もしひとりが離れるとほかの仲間を一緒に連れて行くから、というのが理由の一部である。もちろん、だれかがグループを棄てると前に彼へ向けられていた『愛』は怒りと憎しみとあざけりに変わる。 |
6 | 186 | 友人感覚 | 勧誘候補者が受けるいちばん普通の印象は、なんと言っても、いま自分は新しい友人になりはじめているんだという印象である。 |
9 | 289 | 良い会員 | (カルトにいるときは)疑問や矛盾のことをゆっくり考える暇が全然なかったのだった。『良い会員』として、そういうときはほとんどいつも『思考停止にならなければならなかった。 |
4 | 115 | 『預言が外れる時』 | |
4 | 114 | 四つの構成要素 | マインド・コントロールは、『認知不協和理論』として知られるようになった理論の中で心理学者のリアン・フェスティンガーが説明している三つの構成要素の分析を使うと、だいたい理解できるようである。これらの構成要素とは、【行動コントロール】、【思想コントロール】、そして【感情コントロール】である。それぞれの構成要素が、ほかのふたつに対して強い影響力を持つ。ひとつを変えると、ほかのふたつもそれにつられて変わる傾向がある。三つをすべて変えることに成功すれば、個人など吹きとばされてしまう。しかし、私は、破壊的カルトを調査した経験から、これに【情報コントロール】というきわめて重要なもうひとつの要素をつけ加えている。以上の要素を、私はマインド・コントロールの四つの構成要素と呼ぶ。 |
4 | 121 | 四つの罪責感 | 歴史的罪責感−−たとえば合衆国が広島に原爆を投下したという事実。 人格的罪責感−−たとえば『私は自分の潜在能力を生かしきれていない』といった考え 過去の行動に対する罪責感−−たとえば『私は試験でカンニングをした』 社会的罪責感−−『人々が餓死しようとしている』。 |
3 | 83 | 四つの人格モデル | 思索形・感情形・行動形・信仰形 |
章 | P | 項目索引 | 適用 |
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6 | 180 | リーダーシップ (指導体制) | <抜粋> 興味深いことに、今日のカルトの指導者には、かつて自分自身マインド・コントロールカルトの犠牲者だった人物が多い。 だれかがマインド・コントロールにかかったまま、カウンセリングを受けずにグループをやめると、その人はとかく、自分が修得したことをもっていって、それをほかの人々に行いがちである。 カルトのリーダーにある者には、一種の劣等感と多少反社会的な性格があるのは明らかだと私には思える。カルトリーダーの多くは、物質的豊かさを欲しがり、また必要としている。しかし私の考えでは、彼らがいちばん欲しがっているのは、人々の注目と、そして権力である。権力というものは極端に中毒になりうるものであり、事実そうなっている。カルトのリーダーたちは、時とともにますます欲しがるようになる。ひとつ、これらの人々を非常に危険な存在にするものは、彼らが心理的に不安定な人間であり、また自分自身の宣伝を、自分でも本気で信じているという事実である。彼らは、ただ金もうけをしたがっているずるい詐欺師なのではない。私自身の体験から思うのだが、彼らは大部分、自分が『神』であり『メシア』であり悟りを開いた尊師だと、本当に信じているのである。 リーダーシップのもうひとつの重要な側面として、組織内での権力の流れということがある。その組織には真の力のバランスを保つ仕組みがあるか。多くの破壊的カルトには役員会があるが、典型的な場合、それらはリーダーの繰り人形である。本当の仕組みは、カルトの指導者を全能の長(頂点)としていただくピラミッド構造である。その下に完全に従属した中核的な側近集団があり、さらにその下にサブリーダーたちがいる。この運営の仕組みは、チェック・アンド・バランス(牽制と均衡)をいっさい許さない。指導者たちが絶対的権力を持つ。アクトン卿ががこう書いたとき、彼はまさにうまく言い当てたのである。『権力は堕落しがちであり、絶対的権力は絶対に堕落する』 今日の破壊的カルトの指導者には、自分自身かつてカルトにいたため、意図的に金をもうけたり人々を利用したりというつもりからではなく、ただ妄想とマインドコントロールから行動している人物も多い。私がカウンセリングをして救出をした人々が入っていたいくつかのグループのリーダーは、『金銭のためにやっている』のではなく、私の見るところ自分の影響力に中毒になっている人間たちだった。多くの破壊的聖書カルトのリーダーは、目立った浪費家でもなく、神と聖書を自分より上の権威としているように見える。にもかかわらず、聖書と神意に関する彼らの解釈が、人々を操作しコントロールするのに使われているのである。 |
2 | 53 | リーダーの特典 | リーダーだということは、ほかにも特典があった。(略)私は、何百人もの人々の前で立ち上がって日曜礼拝をしたり、統一原理の講義をしたり、またメンバーが私を素晴らしい霊的人物として見上げるときに感じる気分が好きになってきた。 |
4 | 137 | リーダーのように | カルトの私という人格が固まるにつれ、私はかれ(リーダー)のように考え、彼のように感じ、彼のように行動したいと思った。 |
5 | 153 | リーダーをモデル | カルトの頂点にいる最高のリーダーが究極のモデルであり、中間のリーダーたち自身もまた、その上級者をモデルにするように迫られているのだ。カルトの集団が、先入観のない第三者にさえ不気味な奇怪な印象を与える理由のひとつは、彼らがみな似たようなしぐさと服装と話しかたをすることである。外部の人々が末端のメンバーに見ているのは、何段階かのモデリングを通じて伝った、究極のリーダーの人柄なのである。 |
10 | 313 | 理解者 | だれかマインド・コントロールのことを理解してくれる人で、理性的によく話し合える人を見つけるとよい。 |
4 | 146 | 理想家肌 | カルトに誘い込まれる理想家肌の若者の多くは、カルトに入ってからも自分の個性を主張しようとするし、ある人々は反抗的な時期を過ごす。これらの人々にとって、カルトのメンバーになるということは、カルトの権威ある人物を実の家族のかわりにする道になっていることがある。ときには、家族の中にアルコール依存症や麻薬中毒のような深刻な問題があるケースにも私は出会った。それが本人に、正常に機能していない家族からできるだけ離れたいという強い願望を感じさせたのだ。 |
6 | 185 | 良心の呵責 | 破壊的グループは新メンバーの勧誘にごまかしを使うことに何の良心の呵責も感じない。 |
5 | 162 | リンドン・ラルーシュ機関 | |
4 | 133 | 霊的体験の誘発 | 変革のもうひとつの有効な方法は、『霊的体験』を誘発することである。 |
4 | 118 | レッテル | ある言葉をコントロールすると、思想をコントロールするのに役だつ。たくさんがグループが、複雑な状況を単純化してそれにレッテルをはり、カルトの決まり言葉に換言してしまう。このレッテルこそ、詰め込み言語を具体的な言葉に表したものなのだが、それが、ある状況でメンバーがどう考えるかを支配する。カルトの決まり文句または『詰め込み言語』は、また、信者と外部の人々の間に見えない壁をつくる。詰め込み言語は、メンバーたちが自分を特別だと感じるのを助け、彼らを一般大衆から引き離す。詰め込み言語はまた、メンバーが何のことを話しているのか理解したいと思っている新参者を混乱させ、真理を『理解』するためには自分はひたすらもっと勉強しなければいけないのだと思わせるのに役だつ。実際は、詰め込み言語を身につけることで、彼らはいかに【考えない】かを学ぶにすぎない。彼らは、理解するとは信じることだということを学ぶ。 |
10 | 312 | 連想 | いろいろなグループが、ポピュラー・ミュージックを教え込みの一部として好んで用いる……無意識の中に強力な連想を作りだす。音楽は記憶を強くつなぎとめる役割を果たすため、多くのカルトが音楽を教え込みに用いる。 |
3 | 74 | ロビー活動 |