『親は何を知るべきか』
マインド・コントロール研究会編(いのちのことば社)
抜き書き
P15 カルト ―― 危険なことば
- 教義的な意味
思想的に見ると、この言葉は、歴史学者や神学者、社会学者が、宗教的観念や教義などを基準にして使用してきました。自由に指導者の思想に従うグループや、自分たちの理想やリーダーの判断に従った行き方をするグループ、独自の主張を唱えるグループ、あるいは、主流の宗教的グループから離脱したグループのことを「カルト」と呼んでいたのです。なかには宗教ではないカルトもあれば、カルトではない宗教や新興宗教もあるのですが、混同して使われることもあります。
1971年の『プチ・ラルース』(仏仏辞典)によれば、カルトとは、「同じ教義をもつ人間全体」あるいは「一つの宗派から離れたグループ」のことをいいます。
このように、カルトについての定義は、教義や教義的意味に従って定められたものであり、元来そこに悪いものを暗示する意味は全くありません。したがって専門家は、悪い活動暗示するような団体のことは「破壊的カルト」と呼んだほうがいいと考えています。
- 行動上の意味
ところが、近年の社会現象として「新しいカルト(新・新宗教)が出現したことにより、「カルト」の意味に変化が生まれてきました。日常の会話やメディア、世論において、次第に「カルト」ということばが悪い意味をもつようになり、ほとんどの場合、危険な「破壊的カルト」のみを指すようになりました。裁判所、内閣等でも、この意味で使われるようになっています。
ことばというものは、使われながら意味が変化していくものです。たとえば、「ドラッグ」(フランス語 drogue)ということばは、元は染色、化学、薬学の要素などを指し、コカインやモルヒネといった麻薬のことではありませんでした。
このように「カルト」ということばは、以前は教義的立場から、宗教団体や哲学グループを示すものとして使われていました。しかし、今では行動を基準に、狂信的活動や全体主義的(カルト的)グループを告発することばとして使われるようになり、意味が変わってしまったのです。
P18 ヴィヴィアン・リポート
1993年4月25日、スペインのバルセロナで「カルト」問題についての国際的な会議がありました。その席上アラン・ヴィヴィアン(前大臣)は、以前フランス政府のために書いたカルトに関するリポート(いわゆる「ヴィヴィアン・リポート)を引用して、「大部分のカルトは宗教的感情の名のもとに自分たちの目的を達成しようとしている。この宗教的イメージ(思想・信教・結社の自由という鉄壁の概念)を前面に押し出すことによって、人を不当に利用していることを煙幕でおおい隠そうとしている。また、宗教であると宣言することによって、自分たちを非難する敵に対し、『あなたがわれわれのやり方を告発するのは不当であり、あなたのほうこそカルトだ……』と論拠をあげて反論しようとする」と力説しています。
P18 破壊的カルトは何か
- 邪悪なマインド・コントロール
- 認識にかかわるテクニック
メンバーは魅力的で単純化されたメッセージを出発点として、ある一つの考え方を詰め込まれ、知識の集中攻撃を受けています(ミーティング、研修、セミナーを何度も繰り返す、勉強会、読書会、カセットテープを聴かせる、しばしば祈りをさせる等々)。そうするうちに、その破壊的カルトの理論、方法、実践を批判する力や判断力が徐々に失われていき、つき従うだけになってしまいます。
- 行動に関するテクニック
心理学や精神医学の分野でよく知られているテクニックですが、単純で繰り返しの多い行為を行わせ、だんだんそれに没頭させ、服従・隷属させていくのです。そして本人の自由意志をなくしてしまいます。
- 感情に関するテクニック
メンバーは当初リーダーのカリスマ性(特殊な能力)、リーダーのメッセージまたはそのグループに心を奪われます。やがて感情が抑圧されていき、それに伴って自分自身のバランスが崩れていく自己破壊、つまり自我の構造の解体が起こります。そして、グループ全体の意識を共有するようになり、同時に、グループに帰属することで「快感」「優越感」が生ずるに至り、人格が完全に作り変えられていきます。知らないうちに、どんなことでも信じ込み、語り、行ってしまうようになるのです。
- 三つの破壊
- 人間の破壊(精神面の破壊)
- 家族の破壊
親子や夫婦の断絶、別居、離婚に至る破壊
- 社会的破壊
不当な干渉、思想への浸透、社会的組織から離れさせてしまうこと
- 三つの詐欺
- 知的詐欺
メンバーは求めていた答えに対して、全く違った答えを与えられます。破壊的カルトのメッセージは魅力的です。しかし注意して考えれば、それが単純化された破壊的メッセージであることは明らかです。
- 道徳的詐欺
多くのメンバーは、あらゆる種類の虐待を受けています。
- 金銭的詐欺
破壊的カルトの架空の力(宗教的、医学的)をメンバーに信じ込ませ、詐欺的行為を行わせます。
P21 破壊的カルトの八つの特徴
世界中の専門家は破壊的カルトの特徴についてだいたい似たような説明をしますが、アメリカのスタンフォード大学の社会心理学者フィリップ・G・ジンバルドー博士は、次の八つの特徴があると分析しています。(参)P36
- グループの中で指導者は自分自身を崇拝させ、特別な使命をもっていると教える。
たとえば、自分は神であるとか、イエスの生まれ変わりであるとか、全人類を救う使命を帯びているとかいいます。そして、自分について来るものだけが救われ、ついてこない者たちは亡びると教えます。
- 指導者は自分と教義に対して絶対的な服従を求める
どんな命令でもメンバーは従わなければなりません。メンバーの判断ではなく、指導者と教義の判断が必ず正しいのです。どんな問題に対しても、最後に指導者だけが決断することができます。指導者や教義あるいは組織に対する批判は許されません。
- 指導者は大きな権力をもち、しばしばカリスマ的である。それによってメンバーたちに魅力を感じさせ、彼らの行動を管理する。
メンバーたちは家族や友人、大学や仕事を捨てて指導者に従います。指導者はメンバーの財産、人間関係、あるいは生命までもコントロールします。
- 破壊的カルトは、指導者をひたすら信じる人々によって成り立っている。そしてメンバーを経済的、政治的な分野にも進出させる。
この点で破壊的カルトの多くは、普通の宗教と違っています。破壊的カルトは宗教上のイデオロギー(教え)を利用し、メンバーたちの経済的、政治的活動を宗教的な活動と混同させます。さらにはそのような経済的、政治的活動が宗教的イデオロギーに取って代わったりすることもあります。
たとえば、ある破壊的カルトはメンバーに日本全国をワゴン車で移動して品物を売らせ、お金を集めます。一般の人から見ると、この活動は指導者と組織のためのビジネスにすぎません。しかしメンバーたちは、この活動は神様のため、人々の救いのためと信じています。同じようにして、あるグループでは、選挙のときは決められた人に投票しなければならないと教えます。
- グループの本当の目的を隠している
たとえば、お金を集める、人を集める、集団を維持することです。メンバーたちは多くの時間を使ってお金を集めたり、新しいメンバーを勧誘したりしています。また、そういった活動に伴って、非常に多くの時間をかけて組織は維持され、拡大していきます。
- 人の善意を利用する
破壊的カルトに入る多くの人は、平和な社会を作りだし、全人類が幸せになることを願っている純粋でまじめな人たちです。破壊的カルトはこのことを利用し、人々を勧誘するために「私たちのグループに参加すれば、恵まれない子どもや飢えている人々や世界の平和のために働くことができる」と言います。
メンバーたちはいろいろな活動を通して、一心にお金を集めています。しかしこのお金は決してその目的のために使われていません。指導者のもとに集められるか、組織の拡大のために使われています。もちろん、この現実はメンバーたちに知らされていません。
- メンバーたちに自分は特別なのだと感じさせるように仕向ける。
たとえば、「あなたは選ばれた人間である」とか、「エリート」であるとか、「あなた方だけが神の真理を理解している」と言います。こうしてメンバーたちは一般の人よりも優れた存在なのだと信じ込むので、家族、友人等、メンバー以外の人たちから離れていきます。
- 破壊的カルトは人間の五つの基本的欲求を満たしているように感じさせる。
- 身の安全の欲求
住居、着る物、食べ物、仕事を与えているので、グループの中にいるかぎり何も心配することはないと思わせます。
- 所属の欲求
破壊的カルトのメンバーになると、そのグループが自分の家族、友達になります。最初グループは本人を無条件で受け入れます。その人がグループのイデオロギー(教え)さえ信じれば、その人に愛情を示します。指導者が父親のようになるグループもあります。さらに、指導者がいなくても、グループの一員になることによって他のメンバーと強い連帯感をもつようになります。
- 社会的要求
どんな社会でも、多くの若者は、自分には地位も権力もないと感じています。そして大人、すなわち自分より年輩の人たちが地位と権力を握っていると感じています。破壊的カルトに入ると、そのグループの意識を共有することができます。そして、自分が指導者と一体となれば非常に役に立つ人間になると思うのです。普通だれでも、社会や他の人間の役に立ちたいと望みます。そうすれば価値のある人間になれるからです。破壊的カルトはメンバーたちにこのような欲求が満たされていると感じさせます。
- 精神性の欲求
多くの人は日常生活の物質主義を超越したいと思っています。精神的に自分を支えるために何かを信じたい、厳しい人生に対する自分の弱さを癒されたいのです。宗教はその精神的な支えになります。これを利用して破壊的カルトは、「私たちは本当の宗教です」とか「本当の真理をもっています」とか言って勧誘します。
- 依存の欲求
子どもは両親や先生に頼ります。そして親にほめられると安心します。両親には、子どもの安全と幸福に責任があります。大人になっても多くの人は、無意識のうちに善良な親に依存したいと感じているといわれます。
破壊的カルトの指導者はこうした親の役割を果たすのです。メンバーたちは、指導者に頼れば人生と幸福とを保証してもらえると信じます。一方、指導者は独裁者と同じことをします。私に頼ればすべての欲求を満たすことができる、ただし私だけに従わなければならない、という交換条件を出すのです。そのやりとりのなかで気づかないうちに、個人の自由が失われます。
P34 入会の共通項
- きっかけ ―― 本人は悩みを抱えていました(自身、人生、社会、家庭等)。
- 時期(タイミング) ―― 悩みをもった心理状態で破壊的カルトから、タイミングよく誘われます。
- 本人は自分の欲求が満たされるかもしれないと思います。このグループを通して悩みの解決や目標を得られると思わせるのです。
- その時はまだ入るつもりはありません。
- 本人は誘われるときに、
- 誘ってくれる人を断る理由はないと考えます(あまりに親切なので)。
- 相手が破壊的カルトのメンバーとは知りません
- 十分な情報を与えられないので、自ら判断できません。
- 場合によっては組織の本当の名前を知らされません。
- 最初から明確で十分な情報を与えられていれば、ほとんどの人は入信しなかったでしょう。
P36 カルトの魅力を理解する必要性
破壊的カルトは人間の問題と社会の問題をよく研究しています。だから多くの人が興味をもつのです。フィリップ・ジンバルドー博士は、そのことについて「アメリカ社会は個人主義的社会であるが、日本は家族主義的社会、あるいは共同体主導型社会である。日本では独自に行われている他の原則はないか、そうした問いに答えなくてはならない。教育者、弁護士、政治家、親等として、日本にある破壊的カルトの何が日本の大人にとって魅力なのかを理解しなければならないのである」と述べています。
P41マインド・コントロールの事例の研究
- ロバート・リフトン
1950-1953年の朝鮮戦争のとき、多くのアメリカ兵が中国と北朝鮮の捕虜となって精神操作の教育を受けたということがありました。……
リフトン博士は、研究の結果について『思想改造の心理』という本を書きました。その第2章で「思想改造のプログラムの8つの基準」を述べています。
- 環境コントロール
環境とコミュニケーションのコントロール(他者とのコミュニケーションに限らず、個人の内面でのコミュニケーションも含まれます)
- 神秘的操作
「最終目的」を達成するという名目のもとでは、すべての人がすべての人を操作していると言えます。自然に起こったように見える体験も、計画された効果を発するよう巧妙に操作されたものであり、霊的と思われる体験も、実は仕組まれたものにすぎません。
- 言語の詰め込み
言語を管理することで、思考の管理が容易になります。全体主義集団では、現実を黒と白にはめ込むために全体主義的な言語を使用します。(「思考を停止させる決まり文句」)。外部のものは信者が話すことばを理解できません。この場合、使われることばは人間の理解力を発展させるよりも、抑えつけるものです。
- 教義の優先
実際に体験したことよりも「教義の真理」のほうが重要と考えます。「全体主義的集団の真理」が良心や誠実さに取って代わります。
- 聖なる科学
全体主義的集団では、自分たちの教義は科学的であり、道徳的にも真理であると信じられています。他の見解をもつことは許されず、教義に疑問をいだくことも禁止されています。
- 告白の儀式
人格の境界を打ち破るため、集団のルールに適合しない思想、感情、行動はすべて告白するよう要求されます。プライバシーは全く、もしくはほとんどありません。
- 純粋性の要求
どんな人も達成できないような完璧な基準を掲げることで、罪と恥の意識をかきたてます。集団の思想に従えないものは罰せられ、自らを罰することを学びます。
- 存在の配分
存在する権利をもつ者、もたない者を決めるのは集団です。全体主義的集団には、他に正当な選択肢は存在しません。その集団が政権である場合は、国家による処刑を許すものです。
- エドガー・シャイン
中国の「毛沢東主義の精神操作」の方法を研究しました。中国と北朝鮮で捕虜になった多くの人と話をしたうえで、『強制的説得』という本を書きました。
- 「解凍」
- 混乱
- 感覚の剥奪と、感覚への過重な負担(どちらか一方、あるいは両方)
- 生理的操作
- 睡眠の剥奪
- プライバシーの剥奪
- 食事の変更
- 催眠の利用
- 年齢退行
- 視覚化
- 物語と暗喩
- 言語による二重の呪縛、暗示の利用
- 瞑想、歌唱、詠唱、祈祷
- 自己のアイデンティティーに疑問をいだかせる
- 個人の過去の再定義(偽りの記憶を埋め込み、過去についての肯定的な記憶を忘れさせる)
- 「変化」
- 新しい自己(アイデンティティー)の段階的創造と移植
- 強化セッションによる儀式的な方法
- メンバー、ビデオ、本等による儀式ばらない方法
- 行動修正技術の応用
- 報酬と罰
- 思考停止技術の利用
- 環境コントロール
- 神秘的操作
- 催眠術その他の精神改造技術の利用
- 反復、単調、リズム
- 過去の詠唱、祈祷、(神の)命令、視覚化
- 告白と褒賞の利用
- 「再凍結」
- 新しい自己(アイデンティティー)の強化と以前の自己の降伏
- 過去との決別、友人や家族との接触の減少もしくは断絶
- 大切な所有物の放棄と財産の寄付
- 破壊的カルトの活動の開始 ―― 勧誘、資金調達、メンバーとの同居
- 新しい名前、服装、髪型、言語、「家族」
- 新たなロール・モデルとペアを組ませる二人組制
- 強化の継続 ―― ワークショップ、隠遁、セミナー、個々の研究、集団生活
破壊的カルトのマインド・コントロールでは以前の自己(アイデンティティー)は消されるのではなく、新しいアイデンティティーに抑圧されるのであることを、理解しなければならない。
- マーガレット・シンガー
マインド・コントロールとは目新しいものではありません。何世紀も昔から、ある人々は他人をも思いどおりに動かし、しかも相手に気づかれないよう、社会的、心理的操作を行ってきたのです。
マインド・コントロールの本質は、人の行動をコントロールして、特定の思想や感情を無意識のうちに強制するプログラムです。決して神秘的なものではありません。
かつて社会主義体制で行われた思想教育は、政治的理念に的をしぼっていました。一方、破壊的マインド・コントロールは特定の理念だけでなく、人の感覚全体をまひさせて、徐々に心の奥に侵入します。それによって、全人格的なコントロール可能になるのです。
いったん、プログラムにはまってしまうと、人は自分の過去に不安をいだくようになります。両親が注いでくれた愛情にも疑いをもちはじめます。教師の教えてくれたことにも、です。他の宗教や政府にも疑いをもつようになります。すべてに対して不信感をもたせるよう、周到なプログラムが組まれているのです人をそのような不安定な精神状態に追い込んだところで、唯一の救いとして、破壊的カルトの教義を教え込みます。
破壊的カルトによるマインド・コントロールの特徴として六つの要素をあげています。
- 隠された意図
信者の自己(アイデンティティー)を変えようとしていることを気づかれないように、心理操作は少しずつ穏やかに行われます。
- 時間と環境のコントロール
次に信者は人里離れた場所に連れて行かれ、生活環境のすべてがコントロールされます。一日中、グループの行事に参加させられます。
- 無力感とグループへの依存
友人、家族、職場、学校等、社会生活全般から隔離されます。信者は自分を失い、グループに依存するようになります。
- 古い行動様式の排除
このような状況で、入信前に身につけていた普通の社会の習慣や生活、態度、感情の表現を禁止されます。
- 新しい行動規範の浸透
そのうえで指導者の教えに基づいた、グループ独自の習慣、生活態度、ことば等が教え込まれます。間違いは罰せられます。
- 絶対的な教義
指導者の教えは絶対的であり、疑問や質問は許されません。
こうした巧みなマインド・コントロールの結果、信者は正常な人間関係を失い、自分で物事を判断できなくなります。非常に不安定な精神状態に陥り、恐ろしい妄想にとりつかれたりします。グループから離れられなくなり、やがて知らないうちにグループの奴隷になっていくのです。
- スティーヴン・ハッサン
『マインド・コントロールの恐怖』……ハッサン氏は、破壊的マインド・コントロールは次の四つの構成要素からなると考えています。
- 行動コントロール
- 情報コントロール
- 思想コントロール
- 感情コントロール
マインド・コントロールは破壊的カルトの指導者のイメージとおりに人を作り変えようとします。この過程は「クローン化」として知られています。
- 行動コントロール
- 個人の物理的現実に対する規制
- どこで、どのように、だれと、暮らし、つき合うか
- どのような服、色を身につけて、どんな髪型をするか
- 何を食べ、飲み、何を受け入れ、何を拒絶するか
- どれくらい眠ることが許されるか
- 性行為の規制
- 経済的依存
- よけい、娯楽、休暇に費やす時間の著しい制限または禁止
- ほとんどの時間を教化セッションや集団儀式にささげる義務
- 重大な決定に際し許可を受ける必要性
- 思想、感情、行動を上位者に報告する必要性
- 報酬と罰(行動修正技術 ―― 肯定と否定)
- 個人主義の抑圧、集団思考の徹底
- 厳格な規則と規制
- 服従と依存の必要性
- 情報コントロール
- だましの利用
- 意図的な情報隠蔽
- 情報の都合のよい歪曲
- 全くの虚言
- 外部の情報源との接触を最小限に抑制、もしくは禁止
- 本、記事、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ
- 批判的情報
- 元メンバー(脱会者)
- 考える時間
- 情報の区分、「外部者対内部者」の教義
- 情報は自由に入手できない
- 内部ピラミッドの各レベルや任務により情報が変化
- 「だれが何を知るべきか」は指導者が決定
- 他のメンバーに対するスパイ行為の奨励
- 二人でペアを組む「二人組制」による監視、管理
- 集団から逸脱した思想、感情、行動をリーダーへ報告
- 破壊的カルト作りだした情報やプロパガンダの大量使用
- 会報、雑誌、日誌、音声テープ、ビデオテープ等
- グループ以外からの誤った引用、表現
- 告白の非論理的使用
- 自己(アイデンティティー)の境界を取り除くために「罪」についての情報を利用
- 過去の「罪」を操作・管理するために用い、容赦・赦免は認めない
- 思想コントロール
- 集団の教義を「真理」として主観化する必要性
- 地図=現実(集団の教義が現実世界の唯一の「地図」)
- 「白と黒」思想(現実世界を黒か白かに二者択一に還元)
- 神対悪魔
- われわれ対彼ら(内部対外部)
<「詰め込み言語」の採用(「思考を停止させる決まり文句」を特徴とする)
言語は、われわれが考える際に使用する道具である。しかし、この「特別な言語」は理解を広げるどころか抑えつける。経験の複雑制を陳腐でくだらない「合い言葉」に返る機能を果たす。
- 「良い」「正しい」思考のみ奨励
- 思考停止技術(「否定的」考えを廃止し、「良い」思考のみを許可することで「現実的判断」を締め出す) ―― 合理的分析・判断的思考・建設的批評の拒絶
- 否認、合理化、正統化、願望的思考
- 詠唱 (参)唱えごと
- 瞑想
- 祈祷
- 「異言」(ここでは、恍惚状態で語る意味不明のことば)
- 歌あるいはハミング
- 指導者、教義、政策に対するいかなる批判的疑問も正当化されない
- 他のいかなる信仰体系も正当、優良、有用とは見なされない
- 感情コントロール
- 人間感情を操作、範囲を狭める
- 時間があれば、指導者や集団ではなく、常に「彼ら」が悪いと感じるよう仕向ける
- 罪悪感の過剰な利用
- 自己(アイデンティティー)の罪悪感
- 自分はだれなのか(潜在能力を十分に生かせない)
- 家族
- 過去
- 所属先
- 思想、感情、行動
- 社会的罪悪感
- 歴史的罪悪感
- 恐怖の過剰な利用
- 自発的思考への恐怖
- 「外部」世界に対する恐怖
- 敵に対する恐怖
- 「救世主」を失うことの恐怖
- 集団からの離脱や遠ざけられることへの恐怖
- 非難への恐怖
- 感情の極端な高ぶりと落ち込み
- 儀式と頻繁に行われる「罪」の公の告白
- 恐怖症への教化 ―― 脱会あるいは指導者の権威への疑問に対する、不合理な恐怖感の植え付け
マインド・コントロール状態にある人間は、集団の中にいなければ肯定的で充足した将来を思い描くことができない。
- 集団の「外」では幸福も充足感も得られない
- 離脱すれば恐ろしいことが起こる ―― 「地獄」「不治の病」「自己」「自殺」「狂気」「一万回の輪廻転生」等
- 脱会者の締め出し ―― 友人、仲間、家族からの拒絶されることへの恐怖
- 脱会者に正当な理由は存在しない (参)出口なし
集団の見解では、脱会者は「弱い」「修行不足」「世俗的」「家族やカウンセラーに洗脳された」「お金、セックス、ロック音楽に勧誘された」者である。
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2000/03/10更新