P | 項目 | 適用 | |
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146 | アピール | 破壊的カルトは「自己」「理想」「目標」「因果」「権威」に関する五つの事象に焦点を当ててアピールしてくることが、元メンバーとの面接や教義を示す本などの出版物についての内容分析からわかった。 | |
170 | 暗示 | ル・ボンやリンドホルムらによれば、群衆状況が生み出す心理として被暗示性が高まることを指摘している。 | |
58 | 意志決定の過程 | (概念図) | |
63 | 一貫性 | 一貫性とは、時間や様態を超えて常に一定している情報をさす。要するに、いつも繰り返し観察される情報である。 | |
164 | モスコビッシは、個人の行動スタイルに一貫性をもたせることによって社会的なインパクトを引き起こすことができると述べている。 | ||
227 | 疑うことの重要性 | 何か集団のメンバーになっていても、もし何か矛盾する事実に突き当たったら、徹底的に疑ってみることが大切である。もし、個人が疑うことに対して、何か罪的な否定的意識を教えこまれているとしたら、それは科学的思考を一切否定していることと知るべきだ。 | |
113 | オペラント条件づけ | (行動主義心理学) | |
229 | 親のダブルバインド | 親の多くは、子どもに対してむずかしいダブルバインド(二重拘束)を期待してきたように思う。その期待とは、かたや「素直で良い子」であって欲しいと願い、また同時に「しっかりした自立心のある子」を願っているのである。前者は「親のいうことを聞くものだ」と服従することの価値を説き、後者は「自分で考える能力をもて」と独立することの価値を説いている。これは矛盾した注文である。 | |
231 | 一般の家庭においても、親によっては、明白な意志をもってのこととは思えないが、自分の子どもに、マインド・コントロールと似たような思考パターンをさせていることがある。 | ||
108 | 過信(事象コントロールの) | マイヤーは、人は実際にはコントロールできない事象をコントロールできると認知したり、実際以上にコントロール可能であると認知することがあると指摘(している)。 | |
229 | 家族 | 破壊的カルトの魅力は、親との関わりが重要な位置を占めている場合が多い。多くの元メンバーも、自分が所属していた破壊的カルトのことを真の家族のようであったと述懐する。 | |
109 | 過信(統制への) | 人は実際には統制できないことを、注意深くよく考えたらわかることであっても、統制できると思いこんで行動する傾向があるといえる。つまり、祈祷や呪術などの行為が確率的ないし科学的に調べてみれば、効果のないことが判明するにもかかわらず、ある程度は効果があるのではないかと錯覚してしまう。 | |
12 | カルト | カルト(cult)とは、何らかの強固な信念(思想)を共有し、その信念に基づいた行動を熱狂的に実践するように組織された集団のことをいう。「カルト」という言葉は、本来は、儀礼、崇拝、熱狂などの意味をもつ英語である。それから派生して、既成宗教の信者が、新宗教や異端的な宗教を「邪教」としてのレッテルを貼る意味で偏見的、差別的に用いることがある。 | |
21 | カルト・マインド・コントロール | cult mind control | |
199 | カルト離脱のパターン |
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110 | 軽はずみな接触 | 多くの人は「やってみなきゃあ、わからない。とりあえず、経験してみてからでも遅くない」という軽い気持ちで接触してゆくが、それは非常に要注意なのである。 | |
39 | 感覚遮断 | sensory deprivation 感覚遮断の実験状況は、実際の洗脳にくらべると、身体的苦痛もないし、恐怖感も取り去られているなど、いくつかの点において「なまぬるい」ものである。しかし、それにもかかわらず、拘禁された人はおそろしいほどの単調さと退屈さを体験し、あまりの退屈さのために、新奇なものならなんでも積極的に探し求め、受け入れてしまうのである。 | |
149 | 勧誘 | 破壊的カルトでは、勧誘することは、末端メンバーにとっての大事な「修行」であるなどの理由づけが与えられ、当人のためにも奔走したほうがよいことと位置づけられている。 | |
152 | 破壊的カルトは、勧誘話のできる場を獲得することに成功したら、被勧誘者は個人個人のニーズ(欲求)のちがいに対応して適切なメッセージを選んで用いる。その呼びかけのメッセージは、リフトンに基づいて分類すると、「あなたは、……なければならない、さもないと……」といった強制的メッセージ、「あなたがもし正しい人間であるならば、変わらなければならない」といった訓戒的メッセージ、「あなたは変わることができる。そして救われる」といった治療的メッセージ、「あなたは変わることができて、あなたのもつ潜在能力を十分に引き出すことができる」といった自己実現的メッセージ、の四種類に分けられよう。 | ||
71 | 逆効果 | (ブーメラン効果) 意図した方向とは違う方向に影響すること。 | |
232 | 権威主義的パーソナリティ | フロム……によると、人間は根元的な不安をいだいている。現代人は共通して、その不安を克服しようとして、自らの自由を放棄し、強力な権威者に絶対的支配を受けたいと願う傾向にあるという。その傾向は、「権威主義的パーソナリティ(authoritarian personality)と呼ばれる性格構造としてとらえられ、非常に多くの研究がなされた。 | |
233 | 権威主義的パーソナリティの特徴は、強者への服従、弱者への攻撃、白か黒かといったステレオタイプ的判断、因習主義などの特徴を共通してもつとされた。その後の多くの研究で、これらに共通の特徴は「思考の固さ(rigidity)や「あいまいな状況に対する寛容性の低さ(ambiguity tolerance)」としてまとめられた。 | ||
66 | 帰属エラー | 論理的な推論であっても、エラーをしてしまうこともある。それは「帰属エラー」と呼ばれ、数多くの研究が特に七〇年代から八〇年代にかけて成された。 | |
63 | 帰属理論 | 帰属過程の研究でもっとも代表的なケリーが提出した帰属理論では、人は、帰属という意志決定をおこなう際、弁別性(distinctiveness)、一貫性(consistency)、合意性(consensus)のそれぞれの高い情報を選択的に重視するといわれている。 | |
66 | 基本的錯誤帰属 | ロスは、「基本的錯誤帰属(fundamental attribution error)という概念を発表した。 人は一般に、ある現象の原因を考えるとき、事象の生じた状況のもつ影響力を過小評価し、一方、主体者である人の影響力を過大に評価する推論をしがちである。この傾向を基本的錯誤帰属という。 ワイナーは、本人にとって都合の良い事態は内的に帰属し、都合の悪い事態は外的に帰属する傾向がある、などの特徴を明らかにした。 | |
17 | 恐怖感の植え込み | 精神面において、破壊的カルトメンバーは、その集団内だけが安全な場所であり、集団の外部に出ることは身の破滅につながるというように、神経症的な恐怖感を植えつけられている場合が多い。 | 55 | グループ・ダイナミックス | グループ・ダイナミックスは、もともと集団にはたらく力についての学問であり、何が集団に力を与えるのか、どんな条件がその力を変えるのか、その力はどんな結果を集団にもたらすのかといったことを科学的に研究する。それが今日では、グループ・ダイナミックスは、個人の心理学的過程を含めたもっと広範な対象を扱う社会心理学に統合されて、対人関係論、組織行動論、集合行動論などに分けられて研究されてきている。 集団にはたらく力としてのグループ・ダイナミックスは、一般にマインド・コントロールにどういう作用を与えるのだろうか。結論を先にいうと、群集心理とリアリティの構築、つまり知覚された現実感の構築である。(参)『マインド・コントロールの恐怖』集団力学/グループ・ダイナミックス |
114 | 強化子 | (行動主義心理学) | |
131 | 強制的承諾(実験) | アロンソンとミルズは、認知不協和理論における……強制的承諾の効果を、集団への魅力の研究のなかで実証する実験をおこなっている。……この実験の結果は、厳しい入会条件を課したグループが集団の魅力を高く評価する、という仮説通りのものであった。つまり、集団のメンバーになるためにより不愉快な入会の経験をした人たちは、その集団の魅力のないつまらない集団と認知すれば、認知的不協和理論を増大させることになるから、かえって、集団への魅力を高めることによって不協和を低減したというのであった。 | |
170 | 教義 | 宗教的な破壊的カルトの場合には、教義の奥深さ、高度性を強調される。 | |
56 | 群集心理 | 群集心理の代表的なものは、ル・ボンやロンドホルムが指摘するように、群衆状態が人に暗示性を高めることに効果をもつということである。 | |
101 | 好意 | 相手から好意を示されることが、個人にその相手への好意を生じさせてしまう。 | |
63 | 合意性 | 合意性の高い情報とは、多くの人によって同じことが確認される情報である。 | |
210 | 後遺症 |
A 情緒的混乱:心的な空虚感、無気力感、消耗感/情緒不安定/自責/後悔/現実逃避/自信の喪失/孤独感/拒否感 B 思考的混乱:意志決定の困難/柔軟性の欠如/言葉のトラブル/残余思考/条件反射 C 仲間への懸念 D 家族とのトラブル:無配慮・対立/ガラス張り」の苦悩 E 対人トラブル:人間不信・引きこもり/関係修復の困難/「浦島太郎」状態 | |
113 | 行動修正の応用 | 脱会カウンセラーであるハッサンによれば、カルト集団内でのすべての行動は「報いられるか、罰せられるかである」という。これは、行動主義心理学の理論にもとづく考えの応用ととらえられる。要するに、人は嫌悪する状況から回避しようとするし、快をもたらす状況へと接近する傾向にあるという基本的な行動原理を用いているからである。この原理が応用された心理学的療法を「行動修正(behavior modification)と呼ぶが、破壊的カルトも基本的にこれと同じ原理を応用している。 | |
81 | 個人的リアリティ | たとえどんなに強い確信であっても、それは個人的な経験や推論によって何となく感じているリアリティ感覚によって支えられているにすぎない。そのことをさして、個人的リアリティという。 | |
144 | ザ・ウエーブ | ||
188 | 罪悪感 | メンバーは、入信前の「罪」を告白させられているため、堕落した罪人でというアイデンティティを与えられ、、自分を罰を受けても当然の対象とみなすようになっている。 | |
159 | 錯誤相関 | 錯誤相関(illusory correlation)」という現象がある。それは、実際には、存在しない関係を認知したり、あるいは実際の関係以上に強い関係を認知することである。 | |
72 | 思考停止の技術 | 破壊的マインド・コントロールでは、罪悪感を植え付けたり、外集団への怒りを喚起させたりして、常に否定的感情を喚起させる。メンバーに与えられる恐怖内容は、かなり強い。しかし、彼らは同時にその恐怖から逃れることのできる唯一の方法を教えられている。いうまでもなくその方法とは、組織にとどまり活動することである。よって、恐怖喚起のレベルは常にはあまり高くない。しかし、メンバーがひとたび組織から脱会するとか逃亡するとかを思考しようとすると、極端に恐怖を喚起してしまい、思考そのものをストップさせようとする。ハッサンはそれを「思考停止の技術」と呼んでいる。 | |
138 | 自己知覚理論 | 認知不協和を経験しないような状況下でも、ある行動をとることが内面的変化をもたらすことを説明する理論がある。それはベムの自己知覚理論である。 | |
189 | 自己知見 | 新参のメンバーは、組織によって与えられた役割を一生懸命に演じていくうちに自己の態度がその役割にそって変化する。 | |
172 | 自己ビリーフ | 破壊的カルトは「自己否定しなさい」とか、「自分を神に捧げなさい」さもなくば「救われない」「幸せになれない」と説くことが多い。このことは、破壊的カルトが提供するビリーフ・システムにおいて、「自己ビリーフ」が重要な位置をしめていることを示している。 | |
30 | 思想改造 | thought reform | |
134 | 実践の重視 | ある組織が、集団の外部からみると奇妙で風変わりなことをやっている場合も、集団の結束をはかるためには、かえってそのような奇妙なことが必要であるという側面があるのだ。この原理を応用実践しているのか、カルト・マインド・コントロールでは、また充分な納得ができていない新参メンバーにこそ、行動の実践を重視する傾向にある。 | |
171 | 実践の優先 | 多段階的接近法(の応用) | |
197 | 自発性の演出 | マインド・コントロールは操作者が何らかの結論を用意して、強引にそれに導く意志決定をさせるといった強制的な方法をとらない。常に、行為者が、【自ら考えたように感じさせる】のである。【選択の自由があるかのごとく思わせる】のである。つまり、操作者は、意志決定過程において、実際にはたくさん存在する「道具」と「材料」の中から、選んでほしい特定のものを巧みに仕組んで選ばせてしまう。だから、もし、マインド・コントロールされているとしたら、自らが気づくことは困難である。 | |
54 | 社会心理学 | 社会心理学とはどういう学問であるかを一言で説明すると、実在する他者や想像の上で他者を想定することによって、個人や集団の行動がどのようになるのかを科学的に研究する学問である。 | |
91 | 社会的交換 | フォアとフォアによれば、私たちは、お金、品物、愛情、奉仕、情報、名誉といった六資源に価値をおき、与えられた何かの資源に対して、等価になるような交換可能な資源を与えるという。ホーマンズやアダムスは、人はこれらの資源を相互に交換し合い、いわゆる「ギブ・アンド・テイク」で公正感を社会に成立させていると考えた。このような考えは「社会的交換(social exchange)」と呼ばれる。返報性はこれらの理論的枠組みから説明される。 | |
162 | 社会的リアリティの構築 | 人は自分の身の周りに起こっている現象について、納得のいく説明をするため思考材料として、周囲にいる他者を利用することがある。これはチャルディーニのいう社会的証明である。だから、マインド・コントロールをおこなうという視点に立てば、社会的証明のための材料を提供すればよい、ということになる。 この「周囲の他者」の影響というのは、「社会的リアリティ(social reality)という概念を用いてよく研究されてきた。この概念は最初、フェスティンガーが提唱した「社会的比較理論(social comparison theory)」においてはじめて登場する。 | |
232 | 自由(幻想の) | 破壊的カルト……彼らがメンバーに与えている「自由」は、マインド・コントロールによって見せている「幻想」である。つまり、破壊的カルトは、全体主義思想による支配を、現代の自由主義社会の真ん中で、こっそりとおこなおうとしている。 | |
56 | 集合無知 | グループ・ダイナミックスを応用すると、個人の知覚する情報の確かさを操作することができる。たとえば、それには「集合無知(pluralistic ignorance)」と呼ばれる現象である。 | |
168 | 集合的無知 | 「集合的無知(pluralistic ignorance)」という現象をうまく生じさせることによって、影響力を強めることもある。同じような状況にいる周囲の人の中で、自分だけが逸脱していると信じてしまうという事態が、その場に集合している全員に起こったときに生じる現象である。この事態が生じると、だれ一人として正しいと思っていないことなのに、結局、その状況の規範を守って行動してしまう、という結果になり、かえってリアリティを高めてしまう。 | |
187 | 集団疑似性 | 破壊的カルトは、集団の目標について威信を高め、迫害感をマゾヒスティックなまでに与え、共同体としての結束をかためる。破壊的カルトの生活は厳しいながらも、メンバーが助け合うなかで「暖かさ」「思いやり」「純粋な人」といった対人魅力や、「われら」という仲間意識をもった集団の雰囲気が形成される。こうした集団のまとまりの良さを示す概念を集団凝集性というが、それを高めるものは、自己愛(ナルシズム)に満ちた優越感や誇りである。 つまり、自分たちだけが特別な使命をもった選ばれたエリートであると考え、格別なこと(真理)を知った唯一の集団と信じさせるのである。したがって、組織の外部の人びとを、知性が低く邪悪な者と軽蔑したり、そうした人たちではあるが、いつかはメンバーに加えてやって、救ってあげなければならないという使命感を自認している。この威信の高い目標をもった自己愛が、外集団との区別を先鋭化させ、外集団からの批判は根拠のない中傷と考えるようにさせる。 集団凝集性の高まりは、「集団浅慮(groupthink)」の状態をも導き、一般社会の規範から逸脱する行動をとらせる可能性が暗示される。 | |
69 | 熟慮傾向モデル | elaboration likelifood model | |
13 | 純粋な動機 | 破壊的カルトであっても、活動するメンバーたちは、……合法的で、時には崇高ともいえるような表向きの集団の目標をただただ一生懸命に遂行しているつもりだけの、純粋で誠実な人々によって大部分が占められている。このことは経験的な知見だが、まちがってもその組織そのものの性格と、それらを構成するメンバーの各人の人格を混同してはならない。 | |
86 | 状況の力 | 人間の行動は、自由意志の源泉ともいうべき、個人の趣味や趣向、癖、欲求、能力、性格といった素質だけで決定されているのではなくて、そうした素質的要因のはたらきがある方向へと行動を導くのと同時に、他者から社会から明らかな、あるいは気づきにくい形で、ある方向へと行動を導こうとするなんらかの別の要求があるとみなす。要するに「状況の力」というものが、個人の行動に常に作用しているのである。 | |
227 | 初心忘るべからず | 人はときどき、物事を始めた頃の意志を思い出すべきである。「初心忘るべからず」である。 | |
234 | 神秘主義と科学 | 神秘主義と科学(自然科学)の区別がつかない学生が多いとも指摘されている。これも、思考の固さと関係があるのかもしれない。人間や自然界の謎を前に、はっきりした明白な解答をすぐにも求めようとしたならば、現代の科学にはまだまだ未解決な問題が多いことはいうまでもない。しかし、それをすぐさま「科学の限界」ととらえ、霊界や超能力といった神秘的な解答で納得してしまうのはいかがなものであろうか。そうした神秘的で単純な解答を、人びとにもたらしている源は、現代ではマス・メディアや出版界に代表されよう。科学とは何かについて、各人がもう一度理解しようと試みる必要がある。 | |
102 | 心理的リアクタンス | (psychological reactance theory)この理論はブレームが提唱した。その中心的仮定は、人は自由を求める動機があるというものである。そのために、人は何らかの理由で選択の自由に脅威を与えられると、その脅威に反発して、自由を回復させようとして、その失った自由を取り戻したいという動機ができる。その動機を心理的リアクタンスと呼ぶ。 | |
75 | スキーマ | ビリーフ・システムのうちのごく一部のある「まとまり」をなしたビリーフの群……そのまとまりのことを、心理学の用語では、「スキーマ(schema)」と呼んでいる。 | |
193 | ストレス(感受性を低下させる) | ストレス状況の連続にともなう身心の疲労も、個人を取り囲む状況の変化に対する感受性を低下させる。 | |
193 | ストレス(破壊的カルトの) |
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70 | 接種効果 | (inoculation effect)予防接種のように少し弱めの反駁する情報を提供して、それに対する抵抗の仕方や反論する理論を構築しておくというものである。それによって、組織を批判したり、脱会をうながす説得メッセージの効果は弱まる。 | |
100 | 接触頻度 | ザイオンスは、単なる接触頻度の多さが、相手の好感度に影響を与えることを実験で明らかにした。 | |
192 | 絶対的権威 | 破壊的カルト……組織のトップを中心にした絶対的な権威性と徐々にスライドしていく反社会性が、メンバーの省みない非道徳的行動を引き起こすといえる。 | |
69 | 説得に対する抵抗をゆるめさせる方法 | 一般に「ディストラクション(気移り)効果」とよぶ。 | |
182 | 先入観と期待 | 先入観や期待が、個人の記憶や判断などの思考過程をかなり支配する。 | |
184 | 先入観 | 人は一度ある情報を正しいと思いこんでしまうと、それが後になって誤りであることがわかっても、非合理ではあるのだが、その誤りであるとわかった考えに影響されて行動してしまうこともある。 | |
78 | 先入観 | ケリーがおこなった印象形成の実験やロスバートとビレルの印象形成の実験では、ターゲットの人物の印象が、実際にその人物を見て情報処理を与えておいたいわゆる「先入観」の情報に影響されることを示した。 | |
27 | 洗脳 | ||
29 | 洗脳の三過程 |
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35 | 洗脳の実際的効果 | 中国での「洗脳」の実態が、行動上の服従であって、信念や価値観の変容に成功していたわけではなかったということは、あまり強調されなかったようである。 | |
38 | 「洗脳」の生理的理論 | 人間も含めて動物は、一般的に「痛み」などの嫌悪刺激(無条件刺激)を与えると、それから遠ざかるといった生理的な反射が起こる。そこでこのとき、嫌悪刺激と何か別のもの(条件刺激)とを対呈示するように繰り返せば、動物はその別のものを提示されるだけで、遠ざかるというような反射をするという原理である。 | |
160 | 対概念 | 男といえば女、教師といえば生徒、戦争といえば平和、ナイフといえばフォークであるとか、というような組み合わせである。ジンクスや迷信は、こういうところに発生原因がある。 | |
201 | 脱会カウンセリング | 外部から介入する場合、「脱会カウンセリング(exit counseling)などと呼ばれる特殊なカウンセリングがおこなわれる。 | |
205 | 脱会カウンセリングの重要なポイント |
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93 | 知覚のコントラスト | ||
150 | 手厚い対応(カルトの) | 破壊的カルトのメンバーであった多くの人びとが、口をそろえて、「あんなに優しく、大切に扱われたことはなかった」と証言している。このような勧誘者の手厚い対応は、対人魅力を獲得し、被勧誘者を「うれしい」、あるいは「気分がよい」といった情緒的状態へと導く。その結果、被勧誘者は、勧誘者に対する関心が高まり、好奇心を生じさせ、また情報の源として好意的に評価することになる。それが、身体的にも魅力のある人であると、さらに効果が高まる。 | |
141 | 内面的変化 | たとえ最初は崇高な目的でメンバーに加わったどんな善良な人びとであったとしても、その集団のメンバーでいるうちに、自らの内面的変化を引き起こしてしまうと予想されることである。 | |
153 | ニーズとメッセージの組み合わせ | 自己変革欲求、自己高揚欲求、認知欲求、親和欲求 | |
115 | 認知不協和理論 | 行動することが、内面の認知や感情を変化させる。このような認知・感情・行動の関係を説明するのが、「認知不協和理論(cognitive dissonance theory)である。 | |
15 | 破壊的カルトの反社会性 | ||
163 | 判断 | 人は、自分自身の意見や能力を評価しようとする動因があり、つまり、ほとんど自動的にそうすることがあるという意味だが、そのための基準や根拠を求めている。そのとき、「物理的リアリティ(physical reality)」が存在しているときにはそれを用いる。しかし、そうでないときには、社会的リアリティを用いて判断する、とフェスティンガーは述べている。 | |
186 | 非個人化 | ターナーらの自己カテゴリー化理論で述べられるように、個人はカルトに入ることによって社会的リアリティを獲得する。つまり、個人が「非個人化(depersonalization)を起こして、所属する組織のメンバーとして自己を同一化することによって、自らが所属する集団である内集団とそれ以外の外集団との区別を明確化し、内集団のみが社会的比較の源泉となると考えられよう。 | |
137 | 批判情報からの忌避 | 認知不協和を経験することを不快に思う破壊的カルトのメンバーたちは、自らすすんで、自らの組織への批判的情報やその情報源には接近しようとはしない | |
74 | ビリーフ・システム | 思考の「装置」を心理学では、「ビリーフ・システム(belief system)という。ビリーフとは、ある対象(人や事象)と、他の対象、概念、あるいは属性との関係によって形成された認知内容のことをさす。 | |
146 | ビリーフシステム | ロキーチによれば、ビリーフ・システムの全体的構造は、個人的に正しいと認めているビリーフで構成されるビリーフ群で構成されたシステムと、他者が認めていても個人的には認められないビリーフの群で構成される「ディス・ビリーフ・システム(disbelief system)から成り立っている。 | |
143 | ビリーフ・システムの入れ替え | 永続的マインド・コントロールを可能にするには、意志決定過程に用いられるトップ・ダウン情報を操作することである。つまり操作者は、破壊的カルトでつくられた新たなビリーフ・システムをこれまで自分で築いてきた古いビリーフ・システムに入れ替えることで可能ととなる。 | |
174 | ビリーフ・システムの変化 | (図) | |
198 | 表情(メンバーの) | 彼ら(カルトのメンバー)の表情上の特徴は、疲労、恐怖感、敵意、優越感の四つの情緒を表出していることが多い。 | |
119 | 不協和の事態 | 不協和の事態は、(1)論理的矛盾、(2)文化的慣習、(3)意見の定義、(4)過去の経験の四つから生じるとしている。 | |
124 | 不協和低減の抵抗 | 破壊的カルトの例では、自分の参画している組織には、確かに幻滅するような良くない行動をするところもあるが、その点さえのぞけば自分にとってはプラスになることが多い、よってやめられない。 | |
180 | プライミング | 「プライミング(priming)」とは火をつける、という意味であり、ある特定のビリーフを呼び起こさせて、トップ・ダウン情報として思考過程を誘導するテクニックである。 | |
216 | フローティング | (脱会後、)破壊的カルトで与えられたビリーフ・システムが、偶発的に作動して、当時と同じような思考をしてしまうことがある。これは「フローティング」と呼ばれる。 | |
63 | 弁別性 | 弁別性の高い情報とは、つまり、何か突出した目立つ情報である。 | |
109 | 平均回帰 | ツバスキーとカーネマンの実験で、……自己の平均へと回帰する現象に人は気づかないことを示した。 | |
107 | 忘却(自分の意見・感情の) | マイヤーによれば、人は以前の意見や感情をも簡単に忘れることがあるという。 | |
54 | マインド・コントロール | マインド・コントロールを、社会心理学の視点から説明可能な巧妙な他者操作の技術であると見なす。 | |
59 | マインド・コントロール (一時的・永続的) | ボトム・アップ情報を操作するマインド・コントロールのほうを「一時的マインド・コントロール」、トップ・ダウン情報あるいはトップ・ダウン情報とボトム・アップ情報の両方を操作しようとするそれを「永続的マインド・コントロール」と区別して呼びたい。 「一時的コントロール」は、個人のいる場にはたらく拘束力を利用する。つまり、ある個人の置かれた特定の状況における判断や行動の操作を目的に、外部環境からの情報をコントロールする。したがって、その影響力は後々には影響せず、「その場限り」あるいは「その状況下」だけのものである。一方、「永続的コントロール」は、意志決定のための「装置」までも変容し操作してしまうので、個人のいる場に関係なく影響を与えることができる。 | |
52 | マインド・コントロールの行使 | マインド・コントロールは、実は強力な影響力を発揮するものであっても、本人のみならず、周囲の人々にも気づかれずに行使されていることが多い。 | |
53 | マインド・コントロールとは | マインド・コントロールは社会心理学的テクニックである 「マインド・コントロール」という言葉は、破壊的カルトが秘密裡におこなう心理操作について当てられた言葉であり、心理学の専門用語に入れられていない。この言葉は、日本では一九九二年頃から一般に知られはじめ、かなり誤解され、あいまいでジャーナリスティックな概念となってしまった。誤解のなきようにいっておくと、この概念は、本来、心理療法やスポーツ選手がおこなう精神状態の自己管理あるいはセルフ・コントロールなどに当てられたものではない。 | |
177 | メンバーの心理状態 | 破壊的カルトのメンバーが、どのような心理状態になるのかについて、その代表的なものをまとめてみる。まず集団への帰属感・正義感である。自らの組織への強い忠誠心と、帰属意識やそこでの活動の正当性などを抱き、集団への好感的な評価を下している。つぎに、自集団への思想の高度性・優越性である。彼らは自らの組織の思想が高度であり、自分の理解をより深いものにしようと努め、その思想であるビリーフによって、身の周りに生じている現象を解釈したりしようとする。そして、そのカルトのメンバーであることに、特別な使命感をもったり、名誉や誇りを抱いている。また、脱会を余儀なくされたり、反逆的な思考をもつことの罪意識と罰への恐怖をも抱いている。さらには、自分たちの集団に批判的な人びとへの反発ないし敵意を強く抱き、自集団への批判が根拠のない中傷であると信じているのである。 | |
55 | 四つの構成要素 | ハッサンはそれら現在の心理学的見地から再分析し、彼自身のカルト研究と統合して、行動コントロール、思想コントロール、感情コントロール、情報コントロールの四つの構成要素にまとめた。そして彼は、マインド・コントロールでは露骨な物理的虐待はなく、その代わりに催眠作用が「グループ・ダイナミックス(group dynamics)」と結合してこれらのコントロールをおこない、個人のアイデンティティ(信念、行動、思考、感情)を破壊して、それを新しいアイデンティティに置き換えてしまうと述べている。 | |
231 | ルサンチマン | 恨み |
以上、私が個人的に必要としたところばかりを抜き書きにしたうえ、便宜のために項目を設けて「アイウエオ順」に並べ替えを行ったために、元来の体裁を斟酌できないきらいがあります。
マインド・コントロールを適切に知れる良書であるので、これではたいへんにもったいないと感じました。そこで理解を助けるために下記に「目次」を付しました。
『マインド・コントロールとは何か』目次
第1章 破壊的カルトの活動とマインド・コントロール
第9章 マインド・コントロールへの抵抗と防衛、そして現代社会
第3章 マインド・コントロールとはいかなる技術なのか
第4章 一時的マインド・コントロールの原理と実際
第5章 「人間がかわること」の理解のための社会心理学研究
第6章 永続的マインド・コントロールの実験 ―― 組織入会の過程
第7章 永続的マインド・コントロール ―― 組織の強化と維持
第8章 脱マインド・コントロールの技法と脱カルト者の心理
5 マインド・コントロールの説明 6 思想の矛盾や問題点 7 過去の記憶 8 元メンバーの体験